Amazon S3とは?主な機能や活用例を徹底解説
データを長期間、安全に保存したいと思っている方も多いのではないのでしょうか。
そのためには、インターネット上でデータを保存するためのサービスであるAmazon S3の活用がおすすめです。Amazon S3を使って長距離でも高速かつ安全なファイル転送が行えれば、サイトの高速化にもつながります。
この記事では、Amazon S3の機能とその利用の仕方について詳しく説明します。
目次
Amazon S3とは
Amazon S3(Simple Storage Service)はAWS社が提供するオブジェクトストレージサービスで、データをオブジェクト単位で管理する仕組みが特徴です。
ファイルをクラウドにアップロードするだけで、安全に保管できます。
容量に制限がなく、写真・ビデオ・書類など、どのような種類のファイルでも保存が可能です。
データはいつでもどこからでもアクセスでき、バックアップやデータ共有に便利です。
また、自動でデータの耐久性を確保しており、セキュリティも高いため、安心して利用できます。
Amazon S3の主な機能
Amazon S3の主な機能は以下の5つです。
- ストレージ
- ライフサイクル
- バージョニング
- モニタリング
- データ処理
それぞれについて解説します。
ストレージ
ストレージ機能は、ファイルをインターネット上に安全に保存できるクラウドサービスのことです。
容量無制限で高い耐久性に優れ、大量のデータを安心して保存できます。
また、ファイルごとにアクセス権を設定できるので、誰がどのデータにアクセスできるかを細かく管理できます。
コスト効率も良く、使用した分だけ料金を支払う仕組みなので、無駄なくコストを管理したい場合に有用です。
ライフサイクル
ライフサイクル管理機能は、データの利用状況に応じた自動的なデータ削除や、より低コストのストレージクラスへの移動を可能にします。
例えば、アクセス頻度の低いデータは、高いアクセス頻度向けのストレージクラスから低頻度アクセス向けのストレージクラスに移行すると、管理コストを削減できます。
このような動作の自動化はもちろん、ニーズに合わせて、どのファイルをいつどのように管理するかを細かく設定できる点も強みです。
技術的な知識が少なくても、このライフサイクル機能を使うことでデータ管理が簡単になり、時間とコストを節約できます。
バージョニング
Amazon S3でバージョニング機能を利用すると、同じデータに複数のバージョンを保持することが可能です。
仮に同じ名前のファイルを誤って上書きしたり、削除したりしてしまった場合でも、以前のバージョンに簡単に戻すことができます。
もしもの場合にデータ復旧が容易になることは、想定外のトラブルを防ぐ上でも重要です。
モニタリング
Amazon S3のモニタリング機能は、データやストレージの状態を監視し、必要な情報を提供するためのツールです。
具体的には、今どれだけのデータを保存しているか、どのくらいの頻度でアクセスされているかといった使用状況を追跡できます。
ストレージの利用状況を把握する上では欠かせない機能です。
また、アクセスが急増した場合やストレージ容量が一定の限度を超えた場合など、特定の条件に基づいてアラート通知を受け取れます。
データ管理の自動化やセキュリティ保持にも役に立ちます。
データ処理
Amazon S3のデータ処理機能は、保存したデータを効率的に分析・処理するためのツールやサービスです。
方法として、Amazon LambdaなどのAWSサービスと連携し、サーバーレスでデータ処理が可能です。
例えば、ファイルがアップロードされたら自動的に画像を加工するなどの処理ができます。
また、Amazon Athenaを使用すれば、S3に保存されたデータに対して標準SQLを使ったクエリを実行できます。
主にAmazon製品をはじめ、分析ツールと連携してデータを簡単に処理できる点が強みです。
Amazon S3を利用するメリット
Amazon S3を利用するメリットは、主に以下の3つです。
- セキュリティ面で優れている
- 無制限の容量を確保できる
- 柔軟性の高いストレージ機能を使える
それぞれについて解説します。
セキュリティ面で優れている
Amazon S3は、データを安全に保管するための高いセキュリティ機能を提供しています。
まず、データは暗号化されて保存されるため、誰がデータにアクセスできるか厳密なコントロールが可能です。
また、アクセス管理機能も備わっており、データごとに個別のアクセス制限を設けてセキュリティレベルを細かくコントロールできます。
保存されたデータへのアクセスは基本的に所有者に限定されており、不特定多数に閲覧や利用されることはありません。
暗号化機能を利用すれば、さらなるセキュリティ強化が可能です。
無制限の容量を確保できる
Amazon S3の大きなメリットは、容量制限がないことです。
1ファイルあたり最大5TBまでアップロードできるため、データ容量を気にせず利用できます。
多くのクラウドサービスでは、事前に保存するデータ容量を決定して運用する必要がありますが、Amazon S3では必要がありません。
現在の空き容量を気にしたり、容量を確保するためにデータを削除したりする必要がないため、ビジネスの拡大に伴うストレージ容量の問題を心配せずに済みます。
柔軟性の高いストレージ機能を使える
S3の最大の魅力は、柔軟に対応できるストレージ機能にあります。
ストレージが自動で拡張・縮小するため、事前に容量を計算したり、余分なリソースに先行投資したりする必要がありません。
バックアップ先としての利用はもちろん、処理前後のファイルを分別する、静的ファイルを配信するなど、さまざまな用途に対応できます。
膨大なデータを効率的に管理したい場合、S3のクラウドストレージは適していると言えます。
Amazon S3の活用例
Amazon S3の活用例は以下の5つです。
- データの長期保存
- AWSサービスのログデータの保存
- 静的Webサイトの公開
- 大容量データのアップロード
- BCP対策
それぞれについて説明します。
データの長期保存
ビジネスにおいて、長期間にわたって保管が必要なデータは多く存在します。
しかし、オンプレミスのストレージは限られており、保管場所に悩むことは多いのではないでしょうか。
Amazon S3を利用すれば、容量無制限でデータを保存でき、オンプレミスでは対応しきれないデータの長期保存も可能です。
さらに、Amazon S3はストレージクラスごとに料金が異なります。
例えば、「閲覧頻度が数年に一度程度で、1日後に必要」というデータには、Amazon S3 Glacierを利用することで、コストをさらに抑えられます。
「閲覧はほとんどしないが長期保存が必要」といった監査対応のデータなどにも最適です。
AWSサービスのログデータの保存
Amazon S3は、他のAWSサービスから出力されるログデータの保存先として広く利用されています。
例えば、ロードバランサーやCDNサービスAmazon CloudFront、そしてAmazon EC2からのログデータの保存に適しています。
さらに、S3に保存されたログデータは、Amazon Athenaを使った分析やAmazon QuickSightを用いた可視化など、さまざまなAWSサービスと連携が可能です。
静的Webサイトの公開
Amazon S3の便利な活用法の一つとして、静的Webサイトホスティング機能を利用したWebサイトの公開があります。
基本的な構成としては、Amazon CloudFrontと組み合わせて、Amazon S3で保存しているコンテンツをWebサイトとして公開します。
静的コンテンツはS3に配置し、動的コンテンツはAmazon EC2上のサーバーに配置する方法が一般的です。
特に、画像などの静的コンテンツは容量の大きいものが多いため、容量単価が安く高い耐久性と可用性を持つAmazon S3に配置すると、コストを抑えながら安定した運用ができます。
S3の静的Webサイトホスティング機能と他のAWSサービスを組み合わせることで、効率的なWebサイト運営が実現できます。
大容量データのアップロード
AWS CLIやAWS SDKなどのAPIを使ってデータをアップロードする際、一定容量を超えるファイルには自動的にマルチパートアップロードが適用されます。
大容量ファイルを細かく分割して送信するため、ネットワーク回線への負荷を軽減し、他の業務への影響を与えることを防げます。
仮に部分的に送信に失敗した場合でも、失敗した部分のみを再送信するため、全体を再アップロードする必要がありません。
ゆえに、効率的に大容量データをアップロードできます。
BCP対策
BCP(事業継続計画)対策機能は、災害や障害が発生した際でも事業を継続できるようにするための仕組みです。
まず、保管したデータは複数の地理的に離れたデータセンターに複製されるため、一か所で障害が発生してもデータが失われる心配がありません。
また、データの自動バックアップや、ファイルの変更履歴を保存するバージョニング機能などが備わり、迅速なリカバリに役立ちます。
地震などの自然災害や大規模なシステム障害は、いつ起こるか予測できません。
事前にAmazon S3の高い可用性とレプリケーション機能を活用していれば、システムの迅速な復旧が可能です。
Amazon S3の操作方法
Amazon S3の操作方法は簡単です。
まずはAWSの公式サイトでアカウントを作成しま
アカウントを準備できたら管理コンソールにログインし、「バケット」というデータを保存するためのコンテナを作成します。
バケットには名前を付け、リージョン(データセンターの場所)を選んでください。
作成したバケットには保存したいファイルをアップロードします。
管理コンソールで「アップロード」ボタンを押し、アップロードするファイルを選択しましょう。
アップロード後はアクセス権限を操作し、必要に応じてアラートやログを設定して管理・監視ができます。
まとめ:Amazon S3の活用で、データを容易に安全に管理できる
Amazon S3は、大規模なデータを安全に保管するのに適したサービスです。
容量制限がないためコスト面のメリットにも優れ、企業の大切なデータを守るために欠かせないさまざまな機能を有しています。
また、静的Webサイトホスティング機能を利用してWebサイトを公開すれば、画像などの容量の大きいコンテンツを配置してもサイト高速化を実現できます。
Amazon S3を活用してデータ管理やWebサイト運営を行いたい企業様は、弊社のサービスをご活用ください。
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今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。