130万件のレビューから見えるファッション業界のインサイト

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BtoC-EC市場規模は2018年も伸びており、ファッション業界においても以前よりECサイトで購入するハードルが下がっています。

今後ECサイトの成長を加速させるためには何が必要でしょうか。
ファッションECにおける実際の購入者の声(レビュー)から分析しました。

本記事では、YOTPO社が調査した海外ファッション業界を事例に、130万件のレビューから見えたインサイトをご紹介します。

 

1.日本におけるファッションECの成長

2018年のBtoC-EC市場規模は、17兆9,845億円(前年比 8.96%増)、内50%以上を占める物販系分野は9兆2,992億円(前年比8.12%)という結果となっています。

物販系分野で市場規模が最も大きいのは「衣類・服装雑貨等」17,728億円で、昨対で見ても2018年市場は伸びており、成長要因は次のように述べられています。

[引用元]平成31年5月経済産業省 :平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)図表4-15

衣類は身に着けてみないと分からないといった点で「経験財」に分類される。よってサイズや質感が分かりづらいとの理由で、ECの成長性を疑問視されていた時代があった。しかしそれは既に過去の見解となりつつある。

スマートフォンを利用した採寸アプリやコーディネートアプリの利用によって、衣類をECで購入するための心理的ハードルが以前より下がっている印象を受ける。続いて、実店舗、ECの両チャネルを連携させることで得られる顧客データに基づき、販売事業者が巧みなマーケティング手法を駆使し、販売機会を逃さないような工夫も見られる点にも触れておきたい。

[引用元]平成31年5月経済産業省 :平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

・顧客が何を期待しているのか?
・どんな情報があれば購入決断できるのか?
そういったインサイトを知ることが成長の鍵となります。

2.購入者の声から見えるインサイト

ファッションEC業界における購入者が商品に対してどう思っているのか、傾向を把握すべく、今回130万以上の購入者の声(レビュー)のテキストデータを調査しました。

<調査対象データ>
・ファッション業界の3,000店舗
・12,410,892件の購入
・購入額$ 838,141,151
・130万件のレビュー

ファッションに対する購入者の現状

ファッションブランドのレビューとECサイト全体のレビューの平均の星評価を調べました。

平均星評価

平均星評価では、ファッションブランドは比較的高い傾向です。

ファッションブランドの星の平均評価は4.5
ECサイト全体の星の平均評価は4.3

ポイント:ファッション業界は、EC業界の平均と比較して高い満足度を誇り、他の業界よりも平均星評価が5%近く高くなっています。

次にレビューに出現する単語を分析しました。

レビューの頻出単語

ポジティブワードは、ネガティブワードよりもレビューで15倍多く使われています。
ネガティブワード20,000回に対し、ポジティブワードは300,000回出現した結果となりました。

■ポジティブワードTOP10
レビューで使用されているのTOP10は次の通りです。
TOP2は「LOVE(大好き)」と「GREAT(素晴らしい)」です。

■ネガティブワードの傾向
「DISAPPOINTMENT(失望)」は約20,000回言及されていますが、次に多いネガティブワード「BAD(悪い)」は約7,500回しか言及されていません。

失望は、期待が達成されないとき起こります。
期待値をコントロールすることで、この課題を解決することができます。

ポイント:失望を防ぐために、顧客が購入する前に期待値をコントロールすることが重要です。

顧客の期待値をコントロールするには

できるだけ詳しい、正確な商品の説明を

商品詳細ページで購買意欲を上げる訴求は必要ですが、大前提として顧客が判断できる情報を提示することが必要です。

例えば洋服が「透け感がある素材」である場合、説明不足で購入されてしまうと返品やネガティブ評価になる可能性があります。

商品写真だけで判断できない特徴は、あらかじめ詳細情報を記載し正確な説明を行いましょう。

フィット感、快適さ、品質、サイズを重視したレビューを表示

必ずしも、ネガティブレビュー=購入判断に悪影響、ではありません
顧客にとって、他の買い物客が否定的な意見を書いた理由は重要です。

例えば、「ピッタリとしたフィット感が好み」の人が購入しネガティブ評価があったとしても、ゆったり着用したい人にとっては参考情報になります。

レビュー表示した上で、今後購入者にギャップが起きないように商品情報に追記する対応をとれば、ストアへの印象も悪くなりません。

また、ネガティブ評価の理由が、配送遅延の場合と商品がひどい品質の場合とは、捉え方は全く異なります。

ポジティブ・ネガティブレビューともに活用していきましょう。

透明性

在庫状況や出荷条件について正確に記載してください。
また、返品・キャンセル情報も明示しましょう。

返品を恐れて情報を見つけにくい状態にしてしまうと、買い物客が不安払しょくできず、逆に離脱を招いてしまう可能性があります。

3.最大の難点:サイズ、フィット感、品質

先ほど述べた通り、ファッションブランドに対する全体的な評価は良好ですが、買い物客にとっての問題点とは何でしょうか?

問題点を探るために、”なぜ”顧客が絶賛しているのか(あるいは不満を言っているのか)を調べました。
下記の図は、全てのファッションのレビューで使用される単語TOP5です。

「LOVE(愛)」と「GREAT(素晴らしい)」という言葉の次に、顧客は「SIZE(サイズ)、FIT(フィット感)、QUALITY(品質)」について書いています。

フィット感とサイズは比較的簡単に伝えられます。
しかし、品質と快適さを伝えることはより主観的であるため困難です。

ポイントの1つは、顧客と同じ”単語”を使用することです。

下記の図は、快適さや品質に関する単語TOP10です。
最も使われてるのは「SOFT(柔らかさ)」、次に「SUPPORT(支えられる)」「FLATTERING(引き立たせる)」となりました。

ポイント:顧客が使っている単語を使うことで、ブランドは買い物客との関連性を高め、より探しているものを提供できます。

4.カスタマーサービスを向上させるデータ活用方法とは?

カスタマーサービスを向上させるためには、顧客にとって何が重要な問題か知る必要があります。

買い物客がECのカスタマーサービスについて言及する際、使用する単語調査しました。
その結果が下記のグラフです。

ポイント:アンケートをしている項目を見ても、全体的に満足していることが見てとれます。

顧客はメールを介して、カスタマーサポートとのコミュニケーションが親切、的確なサポートであることを評価しています。
「払い戻し」や「返品」について言及しているいることから、これらが顧客にとって重要な問題であることがわかります。

面白い統計:価格は価値の5.7倍以上、言及されています。
これは、価格を伝えるほうが価値を強調するよりも効果的である可能性があることを意味します。

5.個人的なつながりがオンラインショッピングに与える影響

レビューに関する最大の疑問の1つは、顧客がレビューを書く動機です。

動機の1つとして挙げられるのは、「友人・同僚・家族などのつながり」です。

今日、ソーシャルネットワークはECサイト売上牽引に大きな影響を与えています。
Facebook、Twitter、Instagramといった単語がレビューで出現します。

しかし、ソーシャルネットワークの影響を見ると、”同僚”はTwitterの約3倍以上言及されている、という興味深い統計を見つけました。

下記の調査結果を見ると、「個人的なつながりを示す単語」がたくさん出現していることがわかります。

商品を贈り物として受け取る、商品に対するお礼を受け取る、または特別な日に商品を受け取るなど、商品を通した体験はレビューに影響します。

これは、オフラインで発生した個人的な関係が、後でオンラインレビューで顧客が言うことに非常に大きな影響を与える可能性があることを示しています。

6.まとめ

ECサイトを成長させていくためには、
・失望は期待の裏返し、買い物客の期待値をコントロールすること
・買い物客と同じ”単語”を使い、判断しやすくすること
・ソーシャルネットワークの影響を理解すること

が必要です。

さらに、自社ECサイト強化のためには、自身の顧客レビューを収集し分析することが重要になります。

UGC(※)を活用し4ヶ月でCVR150%改善したファッションEC事例をご紹介します。
レビュー分析の結果から見えてきた「ユーザーの着用感」の課題など、インタビューでお伺いしていますので、是非ご覧ください。

※UGC・・・User Generated Contents(ユーザーが生成したコンテンツ)

【株式会社ベリグリ】YOTPO導入後4ヶ月でCVR150%改善!Instagramの徹底活用はこちら

※本記事は、「Fashion Industry Data: Insights from 1.3 Million Reviews」を翻訳・加筆しています。

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勝見 理恵

2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。

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