認知広告にイノベーションを 広告配信プラットフォームEskimi(エスキミ)のアジア太平洋地域責任者が語る 新規市場開拓で重要なこと

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2023/04/24

4月より取り扱いを開始したリトアニア発のプログラマティック広告プラットフォームEskimi(エスキミ)。
今回APAC(アジア太平洋 Asia Pacific)地域の責任者であるSvetlana Kosmachさんにインタビューを実施し、今後市場を拡大していくうえでの戦略や、日本国内の取り組みについてお話を頂きました。

ー今回は貴重なお時間をありがとうございます。まずは今までの経歴、専門分野について簡単に教えてください。

はい。私は2018年からプログラマティック広告(※1)に携わり、さまざまな企業でDSPやSSP(※2)で仕事をしていました。セールスからマネージャー、その後、事業開発の責任者になりましたが、キャリアのスタートは、さまざまなDSPを新しいマーケットに投入することがミッションでした。

その後、さまざまなSSPにも参加して供給側にも携わり、ポップトラフィック(※3)やネイティブトラフィック(※4)などを扱ったあと、Eskimiに出会いました。

以前はEskimiのSSPプロジェクトも従事していたのですが、昨年外れて、ビジネス開発とEskimiの新規市場の開拓に専念することになりました。現在はAPAC地域の責任者で、ビジネス開発の側面を担っています。

私のミッションはAPAC地域全体を俯瞰し、さまざまな市場やパートナーシップを見極め、スキームの今後の方向性やここでの成長方法を決めることです。需要だけでなく、供給にも目を向け、常にトラフィックの最新情報を入手しています。また、さまざまな広告フォーマットにも対応し、市場が必要とするものを常に揃えています。

 

(※1)
プログラマティック広告(Programmatic Advertising):オンライン広告配信の自動化技術を用いた広告の配信手法です。広告主は、ターゲット層や配信予算などを設定し、プログラム上で自動的に広告が配信されます。この方式は、広告主が手動で広告の配信先を決める従来の方式と比べ、より精度が高く、よりスピーディーに広告配信ができることが特徴です。

(※2)
DSP(Demand Side Platform):広告を出稿する広告主の広告効果最適化を目指すプラットフォームです。リアルタイムでの広告枠の買い付け、配信、クリエイティブ分析までを自動で行い広告の費用対効果を最大化します。
SSP(Supply Side Platform):媒体の広告枠販売や広告収益最大化を支援するツールです。
DSPは、媒体側のツールSSPと連携して初めて機能します。

(※3)
ポップトラフィック(Pop Traffic):ポップアップ広告やポップアンダー広告などの広告手法で、Webページ閲覧時に新しいウィンドウが開いたり、元のページの下部に別のページが表示される形式の広告です。一般的に、広告主はアフィリエイト広告ネットワークなどを通じて、ポップトラフィックを購入し、設定した条件に基づいて配信されます。

(※4)
ネイティブトラフィック(Native Traffic):広告が自然な形でコンテンツの中に配置される形式の広告手法です。例えば、記事やニュースの中に自然に広告が表示される形式などが挙げられます。ネイティブトラフィックは、広告がより自然な形で表示されるため、ユーザーに受け入れられやすく、クリック率が高いとされています。

 

ー今、新しい開拓先としてAPACに焦点を当てていますね。具体的にどのような国に焦点を当てているのでしょうか?

APACについては、すでに2、3年前から取り組んでおり、いくつかの市場は非常にうまくいっています。例えば、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、ベトナム、フィリピン。これらの市場はすでに開拓済みで、現地にチームがあり、そこで稼働しています。他にも、日本や韓国、アメリカなどを重要開拓地域として考えております。私の主な仕事は、日本企業のニーズを理解し、そのためのパートナーを見つけることです。その過程で、私たちはギャプライズを見つけました。

ギャプライズは、私たちが市場を俯瞰し、何を必要としているのか、私たちの製品がどのようにこの国の需要に適合できるのかを理解するのにサポートしてくれています。今の私たちの仕事は、日本で成長すること、最初のパートナーシップや広告を開始すること、そして拡大することです。

 

 

ー今年に入り、オーストラリア・アジアなどAPACのいくつかの国ですでにビジネスを開始したとおっしゃいましたが、一番大きい市場はどこですか?

一番大きい市場はタイで、オーストラリア、シンガポールもかなり規模が大きくなっています。数字的にはそれほど大きくはありませんが、顧客数はフィリピンとベトナムが多いです。

 

ー当社とのアライアンスがお客様や市場にもたらすメリットについてお話しいただけますか?

ギャプライズは、すでに様々な企業と仕事をしていて、広告業界にも携わっているという、市場に対する専門知識がある点が大きなメリットの1つだと思います。私たちにとっては、ただ広告を売って終わりではなく、クライアントがどのような市場で、どのような広告に興味をもっているかを理解することが重要なのです。

というのも、市場によってKPIも広告に対する考え方も、ユーザーへのアプローチもまったく違うということが、長年にわたってわかってきたからです。そして、私たちにとっても、日本のユーザーがどのように反応するのかを理解することは重要なことです。

しかし、残念ながら、私たちの会社には日本語を話す人もいなければ、日本の地域担当者もいません。そのため、日本での存在感、専門知識、言語問題を解決してくれるギャプライズとのパートナーシップは、私たちにとって非常に重要なのです。

他の国でも市場を理解をしていくためにパートナーやコンサルタントを利用するケースはあります。
時には私たちだけで進出する市場もあり、私たちのチームから誰かを異動させたり、代理店や競合他社などから、実際に市場を知っている人を現地で雇うこともあります。そして、この担当者も、まずはひたすらクライアントにアプローチし、市場のニーズを理解した後に販売を開始していきます。

私が個人的に好きなスキームは、今のギャプライズとのようなパートナーシップを通じたアプローチです。なぜなら、市場を理解するための最もプロフェッショナルな方法だと思うからです。

 

 

ーパートナーを見つける方法について、何かアイデアや優先順位があるのでしょうか?

基本的には代理店やコンサルティング会社を利用します。パートナーに何を求めるかは常に市場に左右されます。市場の環境であると同時に、どこかで運もあるとも思っています。私たちは通常、代理店の構造、クライアントの構造、見込み顧客の構造などを理解します。そして、市場を理解した上で、さまざまな人にアプローチし、ここでは何が一番効果的かを感じ取るようにします。

既にギャプライズのパートナーである海外企業から、ギャプライズは非常にプロフェッショナルだという話を聞きました。ギャプライズと一緒に取り組みはじめて、私たちがクライアントに直接質問や議論ができ、ギャプライズを通して市場の単価や予算感を聞くこともできます。そのようにしてクライアントや市場の理解を深めることができることに、私たちはとても興奮し、他の市場でもパートナーに対して同じような活動ができないかと相談もしました。

例えば、オーストラリアでは同じような活動はできません。そこで機能しているのは、代理店に相談をするだけ。基本的に代理店を通して仕事をし、直接のパートナーや直接のクライアントとも仕事をする可能性がありません。つまり常に市場環境に左右されます。

どの市場でも、良いパートナーを見つけることが重要です。彼らが市場を理解し、適切なアプローチを提案できることが、ビジネスの成長に大きく寄与します。そして、市場との信頼関係が築ければ、市場での成功率も間違いなく向上するでしょう。

私たちの目標は、APAC地域全体でのさらなる成長と、新しいパートナーシップを築くことです。それにより、市場のニーズに応えることができ、競争力を維持し続けることができると確信しています。今後も、さまざまな国々での新しいチャンスを見逃さず、パートナーと共に成功を追求していきたいと考えています。

 

 

ーアライアンスを組むことで、お客様へのサービスや商品の提供面にどのような変化が起こるのか教えてください。

ギャプライズと協力して、さまざまな企業やクライアントとコミュニケーションを図り、彼らのニーズを理解していきます。私たちの目的は、ただ売ることではなく、製品や市場のニーズを理解し、最適なサービスを提供することです。市場やクライアントによって求められるサービスは異なり、創造的なクリエイティブや正確なターゲティングなど、さまざまな要素が重要視されます。ギャプライズは市場を熟知しており、私たちのプラットフォームがどのように最適化されるべきかを理解する手助けをしてくれます。

 

 

ーユニークなクリエイティブは社内で制作されているそうですが、コスト面などどのような形で取り組んでいますか?

以前はクリエイティブ制作を外部のチームに依頼していましたが、高いコストがかかっていました。そこで、社内のクリエイティブチームを立ち上げ、現在は自社で制作しています。クリエイティブチームはヨーロッパに拠点を置いています。私たちのチームは柔軟で、新しいアイデアやチャレンジを受け入れており、世界中のDSPと比較して私たちの得意領域と考えています。

一般的なテンプレートも用意していますが、過去事例のアイディアを豊富にもっているので、常にカスタマイズを施しています。つい先日も、ある市場から今まで過去に制作したことがないクリエイティブの相談を受けました。そのような場合でも私たちはできないとは言わず、どうやったらできるのか、何が提供できるのかをディスカッションしながら、新しいフォーマットの開発に取り組んでいます。これは私たちが非常に柔軟であることを示す好例です。クライアントの意見から新しいアイディアの種を見出すきっかけとして稼働しています。

クリエイティブのチームは人気があるため、現在も増員中で、急速に成長をしているAPACでも時差問題が発生しないようヨーロッパではないこちらの拠点での人材を募集しています。

 

 

ー今後期待される共同プロジェクトやイベントなどの取り組みを教えてください。

まず、4月に行われたジャパン・マーケティング・ウィークに参加し、多くの人々に興味を持っていただくことができました。今後もカンファレンスへの参加やウェビナーの開催を予定しています。市場に応じてオフラインイベントも開催することもあります。私たちの最優先事項は、Eskimiの名前を市場に知らせることで、ギャプライズと共に今後の取り組みを決定していきたいと考えています。


多くの方にブースにお立ちより頂き、関心をもってもらうことができました。

 

 

ー今回のアライアンスでは、お互いの企業が直面すると思われる課題や乗り越えるべきハードルは何だと考えますか?

日本の市場において、まず私たちが日本人ではないという事実が大きな課題の一つかもしれません。日本は非常に伝統的な市場であり、多くの企業も伝統的な考え方を持っています。ギャプライズとのパートナーシップは、この課題に対処する助けとなると考えています。

また、国内での事例が現状ないことも課題です。国内事例は企業にとってEskimiをはじめることを決定する後押しになるためです。そのため、ギャプライズがEskimiの日本事例を作り、他の企業にアプローチしていくことを期待しています。

 

 

ー最後に、日本の企業に伝えたいメッセージがあればお願いします。

「恐れずに、さまざまな新しいことにチャレンジしてください」ということです。私たちは皆、自分にとって良いと思うツールやサービスを持ち、広告を活用しています。しかし新しいことに挑戦せず、新しいオーディエンスを獲得しなければ、同じ人々にしかアプローチできず、ビジネスは徐々に低下していくでしょう。
名前を広めるためには、新しい人、新しいオーディエンス、新しいフォーマットが必要です。ブランド認知は、現在、どの国でも非常に重要です。日本市場だけでなく、世界中がそうです。

世界中の人々が、ブランド認知について話しています。COVIDの時はブランド認知がやや後回しにされ、コンバージョンベースの広告に集中していました。

しかし、COVIDの時代がひと段落し、私たちの生活が軌道に乗った今、ブランド認知が再び重要視されていることを理解することが非常に重要です。アメリカ市場だけでなく、ヨーロッパ市場でも同様のことが起こっています。さらに、APAC地域の一部でも、ブランド認知策への投資が回復してきています。

企業にとって重要なのは、早く軌道に乗り、自分の名前を多くの人に知ってもらうことが、ビジネスにとって重要であることを理解することです。ですから、新しいことに挑戦することを恐れないでください。市場や技術に対して常にトップであるために、代理店やパートナー、プロバイダーから質問を受けることを恐れないで欲しいと思います。

積極的に新しいチャレンジを行い、新しいオーディエンスやマーケットへのアプローチを試みることで、企業が成長し、ブランドの認知度を向上させることができます。今こそ、新しい可能性に目を向け、恐れずに挑戦する時です。

 

ーありがとうございました!

 

Eskimiのサービスサイトはこちら

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鈴木 隆司

2005年ギャプライズ共同創業 ECコンサルタント、セールス、Webマーケ事業、経営など、実務業務もマネージメントも酸いも甘いも経験させていただき、2020年よりギャプライズの広報業務を担っています。

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