【HUGO BOSSのCX戦略】パーソナライゼーションは“仕組み”で進化する——顧客体験を変えた3つの鍵

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※本記事はdynamic yield社の公式事例を、同社の許可を得て翻訳・編集し公開しています。

世界的ブランドが挑む、顧客一人ひとりに最適化された体験

世界132カ国、約7,400の販売拠点を展開するファッションブランド「HUGO BOSS」は、徹底した“顧客中心主義”を掲げ、タッチポイントすべてでプレミアムな体験を提供しています。

その象徴的な取り組みが、パーソナライゼーション(=顧客一人ひとりに合わせた体験の最適化)。この分野での先進的な施策が評価され、「HUGO BOSS」は2023年に「Personalization Innovator Award」を受賞しました。

しかし、その裏には「センス」ではなく、明確な仕組みが存在しています。

 

パーソナライズを“仕組み化”する3つの要素

1. アジャイルな学習体制と“失敗を許容する文化”

「HUGO BOSS」のパーソナライゼーションチームは、スクラムベースのアジャイル開発手法を導入。2週間単位の短期開発(スプリント)を繰り返しながら、3カ月単位のロードマップに沿って改善を進めています。

このスピード感により、Webでは25件、モバイルアプリでは12件、メールでは15件と、多様なチャネルで施策が継続的に展開されています。

さらに、新しい施策を最短2日でローンチできる体制も構築。技術的には「クライアントサイド」(ユーザーのブラウザ側で表示を制御)での展開が可能で、スピードと柔軟性を両立しています。

2. 社内認知と連携を促す“情報の見える化”

成果が出ていても、社内で共有されていなければ次の一手にはつながりません。

「HUGO BOSS」では、パーソナライゼーションに特化した社内ニュースレターを定期配信し、チームの取り組みを全社に伝えています。このニュースレターでは、実施したパーソナライズ施策の内容や、それによって得られた成果・インパクトに加えて、今後予定している実験や取り組みの概要が紹介されています。

こうした情報の透明性が、部署を越えた認知と理解を促し、全社的な連携体制の強化につながっています。

3. 専門人材による“パーソナライズ専任体制”の確立

HUGO BOSSの成功を支えるのは、キャンペーンマネージャー、開発者、UX/UIデザイナー、Webアナリストなど、機能ごとの専門職による専任チームです。

これにより、チャネル(Web/アプリ/メール)、市場、キャンペーンタイプごとの要件に応じた柔軟でスケーラブルなCX設計が可能に。属人性に頼らない体制が、継続的な改善と拡張を支えています。

 

具体的な施策例

ギフトファインダー(Gift finder

「ギフトファインダー」は、近づいている祝日などのイベントをユーザーに知らせながら、ギフトを探している人が商品を効率的に見つけられるようサポートする機能です。この機能を導入した結果、ユーザー1人あたりの売上が統計的に有意なレベルで増加しました。

 

 

リピーター向け商品表示(Returning visitors)

過去にサイトを訪れたことがあるユーザーが再訪した際に、以前見た商品をトップページで表示する機能を導入。これにより、ユーザーが前回の続きからスムーズに買い物を再開できるようになり、コンバージョン率(購入完了の割合)が向上しました。

 

 

パーソナライズされた歓迎メッセージ(Welcome messages)

ログインしている顧客に対しては、名前を含んだ個別のウェルカムメッセージを表示します。たとえば、「Be your own Boss, Yuliya(自分らしくいこう、Yuliyaさん)」のように呼びかけることで、一人ひとりに合わせた特別な体験を演出しています。

 

 

まとめ:属人化しない、再現性ある「顧客中心体験」

多くの企業が「パーソナライズ」に取り組んでいる現在、その多くは一部のレコメンド機能や簡易なセグメント配信にとどまっており、顧客に「本当に自分のための体験だ」と感じさせるレベルには至っていません。また、施策の成果が属人的になりやすく、再現性や拡張性に欠けるケースも少なくありません。

その中で「HUGO BOSS」の事例は、パーソナライゼーションを単なる機能としてではなく、組織としての戦略と文化にまで昇華させている点において極めて示唆に富んでいます。チーム体制や社内連携、短期間での実験と学習の仕組み、さらには顧客ロイヤルティを高めるプログラムの設計まで、すべてが連動しながら顧客中心の体験を支えていることが分かります。

こうした取り組みは、すぐに真似できるものではないかもしれませんが、「仕組みとしてどう作り上げていくか」という視点を持つことで、自社のECやCX改善にも取り入れられるヒントが確実に見えてきます。

ギャプライズでは、「Dynamic Yield」をはじめとする世界最先端のマーケティングテクノロジーを取り扱い、企業のEC戦略とパーソナライゼーション施策を包括的に支援しています。貴社のECサイトにおいて、HUGO BOSSのような成功を実現したいとお考えなら、ぜひギャプライズまでご相談ください

 

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MarTechLab編集部

このブログでは、ABテスト、サイト改善、UI/UXデザイン、広告最適化、インフルエンサーマーケティングなど、多岐にわたるトピックを取り扱っています。また、業界の専門家にインタビューを行い、実際の事例や成功事例を紹介することで、読者に有益なインサイトとアイデアを提供しています。

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