高級ファッションのECが変わる!KENZOが実現した334%増収と7倍ROIのパーソナライゼーション戦略
※本記事はdynamic yield社の公式事例を、同社の許可を得て翻訳・編集し公開しています。
目次
なぜ今、高級ブランドのECサイトが変革期を迎えているのか
高級ファッションブランドのEコマースは、従来の「ラグジュアリー」という価値観と、デジタル時代における「パーソナライズされた体験」という新しい要求の狭間で、大きな転換期を迎えています。特に、コロナ禍以降、オンラインでの購買体験の質が、ブランド価値を左右する重要な要素となっています。
そんな中、フランスの高級ファッションブランド「KENZO」は、画期的な成果を上げました。Dynamic Yieldを活用したパーソナライゼーション戦略により、収益334%増、投資対効果7倍という驚異的な実績を達成。この成功は、LVMHグループ内で新たなデジタルマーケティングの基準となっています。
KENZOが実現した革新的なECサイト改革
変革の契機:新しいクリエイティブの幕開け
2022年、新クリエイティブディレクターNigoの就任を機に、KENZOは大胆なデジタル戦略の刷新に着手しました。その核となったのが、LVMHオプティマイゼーションラボとのパートナーシップによる、サーバーサイド推奨システムの導入です。
テクノロジーが実現した3つの革新
インテリジェントなプッシュ通知システム ユーザーの行動データと購買意図のシグナルを組み合わせた高度な通知システムを実装。カート内の商品、ウィッシュリスト、そして「Just for You」ページへの誘導を、最適なタイミングで行うことに成功しました。
サーバーサイド推奨エンジンの実装 6つの製品推奨機能をサーバーサイドで実装することで、ページ速度の向上と安定性の確保を実現。さらに、専任の開発チームによる柔軟な運用体制により、継続的な改善を可能にしました。
パーソナライズされた商品表示の実現 顧客セグメントに応じて、「Just for You」(リピーター向け)と「Trending」(新規顧客向け)の2つの異なるバッジを表示。この施策により、商品のクリック率が12%向上しました。
具体的な成果:数字が語る成功
テスト成功率66%の達成
業界平均が30-40%と言われる中、圧倒的な成功率を記録。綿密なA/Bテストと迅速なPDCAサイクルがこの成果を支えました。
パーソナライズされたバッジの推薦
「KENZO」は、製品リストページ(PLP)の製品推薦ウィジェットにおいて、パーソナライズされたバッジの力を活用しました。リピーターの顧客には、「Just for You」というラベルが表示され、その顧客の嗜好データに基づいた製品が推薦されます。それ以外の顧客には、ウィジェットが「Trending」と表示され、最も売れているアイテムが強調されます。この巧妙なラベリングの強化により、製品のクリック率が+12%も向上しました。
改良された製品リストページ
「KENZO」は、PLP(製品リストページ)の「Just for You」体験を進化させ、嗜好データ、最近閲覧した製品、最も人気のある製品の3つの別々のカルーセルを含む単一ページから、最大24製品を表示する洗練された二列型の製品リスト形式に変更しました。戦略的なPLP(製品リストページ)の改良により、エンゲージメントが大幅に増加し、嗜好データに基づくリストで260%、最近閲覧した製品リストで833%のインタラクション増加という驚異的なエンゲージメントの向上が実現しました。
ガイド付きギフト探し
「KENZO」の「Gift Finder」体験には、メニュー、ホームページ、特定のカテゴリーページ、さらに獲得およびCRMキャンペーン用にカスタム作成されたランディングページに直接プッシュ通知が配置されました。体験中には、シンプルで価値のある要素が、ゲストが誰に対して買い物をしているのか(男性、女性、ジェンダーレス、子供)、好ましいスタイル(東西融合、冬の定番、KENZOグラフィックなど)、および予算(XXユーロ未満、XXユーロからXXユーロ、XXユーロ以上)についての情報を収集し、パーソナライズされたギフトのセレクションを提供します。2024年、「Gift Finder」はトラフィック目標の174%およびクリック後の収益目標の108%を達成しました。
7倍のROI実現のメカニズム
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- サーバーサイド実装によるページ速度向上(平均読み込み時間20%改善)
- パーソナライズされた商品推奨による購買率向上
- プッシュ通知の最適化による再訪問率の向上
実務担当者向け:導入のポイント
成功のための3つの要件
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- 専任チームの設置:独立したロードマップと十分なリソースを確保
- 段階的な実装:優先度の高い機能から順次展開
- 継続的な改善:データに基づく迅速な改善サイクルの確立
「Dynamic Yield」導入によるCX向上の可能性
Dynamicyieldは、
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- 高度なA/Bテスト機能
- AIによるレコメンドエンジン
- オムニチャネル対応の個別化施策 を提供することで、ECサイトのCX改善を強力にサポートします。
特に、
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- パーソナライズされたコンテンツの提供: ユーザーごとに最適なコンテンツを出し分け、エンゲージメントを最大化
- リアルタイムのデータ活用: ユーザー行動を即座に分析し、適切なタイミングでアクションを促す
- シームレスなオムニチャネル体験: ウェブ、モバイル、メールなど複数チャネルで一貫性のあるCXを提供 といった機能により、企業のデジタルマーケティングを飛躍的に向上させます。
まとめ:Dynamic YieldでECサイトの未来を創る
「KENZO」の成功事例は、Dynamic Yield を活用することでCXの大幅な改善が可能であり、ECサイトにおけるパーソナライゼーション戦略の重要性を示しています。この成功の鍵となったのは、データに基づいた最適な顧客体験の設計と、それを支えるテクノロジーの活用です。A/Bテストを駆使し、個々のユーザーに合わせたコンテンツを提供することで、より高いコンバージョン率とロイヤルティの向上を実現しました。
ギャプライズでは、Dynamic Yield をはじめとする世界最先端のマーケティングテクノロジーを取り扱い、企業のCX改善を包括的に支援しています。もし、貴社のECサイトにおいてパーソナライゼーションの導入を検討しているなら、ぜひ一度ご相談ください。

今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。