【ベルーナ様独占インタビュー】ECサイト表示速度改善のリアルと成果 – Speed Kit導入の背景とカートシステム環境での挑戦

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ECサイトの表示速度は、顧客満足度、ひいては売上に直結する重要な要素です。総合通販大手ベルーナもまた、この課題に長年向き合い、解決策を模索してきました。ウェブサイト高速化ソリューション「Speed Kit」の導入に至った経緯、既存のカートシステム環境下での具体的な成果、そして今後の展望について、UI/UX周りを担当される清水様にお話を伺いました。

表示速度という長年の課題、その背景とこれまでの取り組み

まず、清水様の担当業務とベルーナオンラインストアについて教えてください。

ベルーナオンラインストアのUI/UX周りを担当しています。当店は衣食住に関わる幅広い商品を扱い、特にカタログ通販から移行されたミセス層のお客様や、「大きいサイズ」のアパレルをお求めのお客様に多くご利用いただいています。長年のカタログで培った信頼関係をオンラインでも大切にしています。


株式会社ベルーナ
EC事業本部 Eマーケティング部
UXデザイン室 係長
清水様

表示速度の課題はいつ頃から認識されていたのでしょうか?

数年前からお客様ヒアリングで「表示速度が遅い」というご意見があり、会社としても大きな課題でした。特に弊社のお客様はデジタルに詳しい方ばかりではないため、表示の遅れは使いづらさに直結し、ブランドイメージにも影響しかねません。お客様がオンライン体験へスムーズに移行する上での大きな障壁となっていたのです。

これまで速度改善にはどのように取り組まれてきたのでしょうか?

もちろん、この課題に対しては自社でも継続的に対策を講じてまいりました。数年前にはGoogle AMPをトップページに導入したり、社内で「表示速度改善プロジェクト」を立ち上げたりもしました。CDNの設定見直しやHTMLの最適化など、技術的なアプローチも多岐にわたり試みてきました。社内でも表示速度に対する問題意識は高く、様々な部門が連携して改善に取り組んできた経緯があります。

しかしながら、正直なところ、お客様がハッキリと体感できるレベルでの抜本的な改善には至っていませんでした。特に、広告配信などで使用する多数のサードパーティ製タグのコントロールが難しく、大きなネックとなっていました。

Speed Kitとの出会いと、PoCで得られた確信

Speed Kitを知ったきっかけと、第一印象はいかがでしたか?

新しい解決策を探す中でSpeed Kitを知り、最初にシミュレーションサイトによる結果を見せていただいた時の衝撃は今でも覚えています。「こんなに速くなるのか?本当に!?」と。その効果に半信半疑ながらも強く惹かれました。

実際の導入検討にあたり、PoC(概念実証)を実施されたのですね。その内容と結果について教えてください。

はい、Speed Kitのようなツールは、実際に試してみないと本当の効果は分かりませんから、PoCは非常に重要でした。 2週間ほど、Speed Kitを適用するグループとしないグループで50:50のA/Bテストを行ったのですが、トライアル期間中から社内でも 「速くなったんじゃないか?」 という声が上がり始めました。 私自身も「体感速度が上がったな」と明確に感じましたね。 PoCレポートでは、LCP(Largest Contentful Paint:ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)において、以下の通り具体的な数値で改善効果が示されました。

    • ドメイン全体:27% 高速化
    • トップページ:40% 高速化
    • 商品一覧ページ:46% 高速化
    • 商品詳細ページ:37% 高速化

お客様の第一印象を左右するトップページや、購入検討の重要な場となる商品詳細ページで、これだけの改善が見られたことは非常に大きいと感じています。 

 

[動画:ベルーナオンラインストア 商品詳細ページ Speed Kit導入前後の比較]

Speed Kit導入後は全体的に明らかに表示が速くなり、お客様がよりスムーズに商品情報にアクセスできるようになったことを実感しています。

Speed Kit導入の決め手は何だったのでしょうか?

PoCでの具体的な数値改善が最も大きな理由であることは間違いありません。  それに加えて、私自身がPoC期間中に実機で何度も確認し、明らかに 「体感速度が上がった」 と実感できたことが大きかったです。  これまでにも他社のツールを検討した経験はありますが、正直なところ、ここまで明確に体感速度の向上を感じられたものはありませんでした。  Speed KitのPoCでは、 「速くなった気がする」 ではなく 「速くなった」 と断言できるレベルでした。 

また、コストよりも 「効果の高さ」 、そして 「お客様が明確に変化を感じられるレベルの改善」 を重視しました。  中途半端な改善では意味がないと考えていましたので、Speed Kitの改善幅は非常に魅力的でした。  本実装後には、この速度改善がコンバージョン率(CVR)にも直接良い影響を与えることを期待しており、今後検証を進めていきたいと考えています。

さらに、導入検討からPoCの実施、そしてその後のフォローアップに至るまで、Speed Kit提供元のギャプライズさんの伴走支援が非常に手厚かったことも、安心して導入を決断できた要因の一つです。  技術的な疑問点や懸念事項に対しても迅速かつ丁寧に対応いただき、スムーズに導入プロセスを進めることができました。

実装の舞台裏と今後の展望

既存のカートシステムやCDN環境におけるパフォーマンスチューニングの難しさについて教えてください。Speed Kit導入はいかがでしたか?

当社のECサイトは、高機能なカートシステムを基盤とし、さらにパフォーマンス向上のためにCDNも利用しています。このように複数のシステムが連携する環境では、それぞれの設定や相性によって、意図した通りの速度改善効果が得られにくいという側面がありました。特に、既存のCDN環境でカバーしきれない動的なコンテンツの配信や、きめ細かいキャッシュコントロールなどが課題となることもありました。

Speed Kitのメリットとして感じたのは、まず「実装が楽」であること、そして「導入後の運用に手がかからない」という点です。既存の複雑なシステム環境に大きな変更を加えることなく導入でき、かつ具体的な速度改善という価値を提供してくれる点が魅力でした。

新しいツールを導入する際の社内調整は大変だったのでは?

当時、他の施策との兼ね合いやシステム予算の制約もあり、投資判断は慎重にならざるを得ませんでした。そこで重要だったのは、上長へのこまめな報告・連絡・相談と、PoCで得られた具体的なデータを元にした丁寧な説明です。「これだけ表示速度が改善されれば、これだけのCVR向上が見込めます」といったように、技術的なメリットをビジネス上の価値に翻訳して伝えることを心がけました。時には専門用語の意味から説明することもありましたね。

Speed Kit導入で大きな成果を実感されているようですが、これがゴールではないのですね。

はい、その通りです。Speed Kitは非常に強力なツールですが、それだけで全てが解決するとは考えていません。私たちは、サイト基盤そのものの改善、つまり内製での速度改善も継続していく方針です。Speed Kitは、そうした内製での改善効果にさらに上乗せしてパフォーマンスを引き上げてくれるものと期待しています。内製で改善が進めばSpeed Kitが不要になるというわけではなく、両輪で取り組むことで、より高いレベルでの顧客体験を実現できると考えています。現在も、システム改修を含めたサイト全体のパフォーマンス向上に継続して取り組んでいます。

速度改善に悩むすべてのEC事業者様へ

最後に、ECサイトの表示速度に課題を抱える事業者様へメッセージをお願いします。

ECサイトの表示速度最適化は、使用しているカートシステムやCDNの種類に関わらず、多くの事業者様が直面する課題だと思います。Speed Kitは、既存のシステム構成に大きな変更を加えることなく導入でき、かつ具体的な速度改善という価値を提供してくれるソリューションだと感じています。

まずお勧めしたいのは、やはりPoCの実施です。「実際に試してみないとわからない」というのは、まさにその通りです。そして、もし従来の最適化手法で行き詰まりを感じているのであれば、Speed Kitが新たな一手となるかもしれません。また、新しいテクノロジーを導入する際は、技術的なメリットをビジネス上の価値に転換して伝え、関係部署の理解と協力を得る「社内推進力」も非常に重要だと感じています。

聞き手:栁澤、今本


この記事から学べるポイント

    • 顧客の声こそが改善の原動力: 「表示が遅い」という直接的なフィードバックを真摯に受け止め、経営課題として取り組む姿勢の重要性。
    • PoCによる実践的な効果検証: デモだけでなく、実環境でのA/Bテストを通じて具体的な効果を測定し、導入判断に繋げる。
    • データと情熱による社内推進: 技術的メリットをビジネス価値に翻訳し、関係部署の理解と協力を得る「社内エバンジェリスト」の役割。
    • 具体的なビジネスインパクト: LCP改善がCVR向上や利益増に繋がる可能性を、具体的な数値シミュレーションで示す。

まとめ

ベルーナ様の事例は、ECサイト運営における表示速度改善の重要性と、その具体的な取り組み方を示唆しています。まずは自社サイトの現状を把握し、PoCを通じてSpeed Kitのようなソリューションがどのような価値をもたらし得るのか、検証してみてはいかがでしょうか。その先には、より満足度の高い顧客体験と、確かなビジネス成長が待っているかもしれません。

ギャプライズ担当者の声

栁澤(セールス担当):ベルーナ様は読み込み速度への感度が高く、顧客体験を追求しておりますので速度改善という面でベルーナ様のユーザー体験向上のお役に立てて嬉しいです。また、弊社では顧客体験を追求できるサービスや海外の先端情報を提供できるため、速度に限らず多方面で弊社を使い倒して頂きたいです。

 

高島(カスタマーサクセス担当):実装フェーズでのベルーナ様の迅速な対応に大変驚きました。お客様のサイト表示速度改善とUX向上への強い熱意がひしひしと伝わり、その結果、PoCレポートでもご満足いただける数値につながったものと確信しております。貴社のような日本を代表する企業にご貢献できたことを、心より嬉しく思います。

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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