CDNの導入方法とは|確認ポイントやメリットを解説
Webサイトなどデジタルコンテンツをスムーズに活用するためには、CDNの導入がおすすめです。CDNを導入すれば、ページの表示速度を改善しサーバーにかかる負荷を軽減できます。Webサイト制作や運営をスムーズに行うために、CDNの導入方法や料金目安を確認しておきましょう。
本記事では、CDNの導入方法について詳しく解説します。
導入するメリットや確認しておくべきポイントも交えて解説しますので、ぜひCDNのを導入して表示速度を改善しましょう。
目次
CDNとは?
CDNとは「Content Delivery Network」の略称で、大量のデジタルコンテンツを効率的に配信できるネットワークのことです。
情報量の多いデジタルコンテンツを最適化し、コンテンツが格納されているオリジンサーバーの負荷を軽減する役割があります。
画像や動画など大量のコンテンツを配信するサイトでは、オリジンサーバーにかかる負荷が大きく、サーバーダウンや通信速度の低速化などネットワーク利用に課題が生じてしまいます。
オリジンサーバーだけで大量のコンテンツを処理するのではなく、CDNを通してコンテンツを最適化することで、スムーズに情報を処理できるようになり快適なネットワーク利用を実現できます。
ネットワーク環境を快適化し、Webサイト制作や運営をスムーズに行うために、CDNの導入がおすすめです。
オリジンサーバーとキャッシュサーバーの違い
CDNの導入を検討している場合は、オリジンサーバーとキャッシュサーバーの違いを把握しておく必要があります。
オリジンサーバーがデータコンテンツを格納する大元となる基幹サーバーであるのに対して、キャッシュサーバーはキャッシュデータを保存するため各地に分散される代理サーバーです。
各地に分散したキャッシュサーバーが、オリジンサーバーでコンテンツを処理する前に情報処理を行い、データ量が最適化された状態で大元となるオリジンサーバーへ情報を伝達します。
CDNはユーザーがDNSを経由し、近くに設置されたキャッシュサーバーを通ってからオリジンサーバーへアクセスするので、快適な情報処理速度を実現できる仕組みです。
DNSの役割
CDNは、DNSを経由してキャッシュサーバー・オリジンサーバーへと情報を伝達することで、コンテンツ処理のタスクを軽減しています。
DNS(Domain Name System)は、ドメイン名とIPアドレスを対応付けるシステムを指し、ドメインからIPアドレスを取得する役割があります。
ドメインとは「www.◯◯.co.jp」のように、サイト情報を可視化したアルファベットと数字・記号によるサイトの番号のようなものです。
IPアドレスとは「101.2◯◯.◯◯◯.499」のように、ネットワーク上で割り当てられるサイトの住所のような役割があります。
IPアドレスだけではユーザーがどのサイトか識別できないため、DNSを経由することでドメインと対応付けて、サイト情報を可視化できる状態へ書き換えることが可能です。
DNSは、サーバーへ情報を伝達する際にIPアドレスをドメインへ書き換える役割を果たしています。
CDNを導入するメリット
CDNを導入するべきか悩んでいる企業は、導入することでどのようなメリットを得られるか確認しておきましょう。
CDNを導入するメリットは、次のとおりです。
- ページの表示速度を改善できる
- サーバー負荷を軽減できる
- 運用コストを抑えられる
- セキュリティ性を向上できる
- SEO強化につながる
それぞれのメリットを確認して、CDNを導入するべきか検討してください。
ページの表示速度を改善できる
CDNを導入するメリットは、ページの表示速度を改善できることです。
画像や動画の読み込み量が多いと、ページの表示速度が遅くなり、ユーザーのページ離脱やサービス退会など機会損失へつながります。
Webサイトから集客・購買へ誘導するには、ユーザーのページ離脱やサービス退会などの機会損失を防ぐ必要があり、快適なネットワーク環境を整えなければなりません。
CDNを導入することで、画像や動画をキャッシュサーバーで読み込み、オリジンサーバーにかかる負荷を軽減することで表示速度を向上できます。
結果的にユーザー満足度向上へつながるため、コンバージョン率を向上できるでしょう。
サーバー負荷を軽減できる
CDNでコンテンツ処理を最適化することで、オリジンサーバーへかかる負荷を軽減できます。
オリジンサーバーのみで情報処理を行っている場合、サーバーへの過負荷によりサーバーダウンや表示速度が低下してしまいます。
そのため、エラーやページの非表示などを起こし、ユーザーにストレスを与えてしまい離脱・サービスの利用停止へつながってしまうのです。
CNDによって複数箇所のキャッシュサーバーへ分散すれば、オリジンサーバーへかかる負荷を軽減し機会損失を防げます。
サーバー負荷を軽減し、快適なネットワーク環境を整えるために、CDNの導入がおすすめです。
運用コストを抑えられる
CDNを導入するメリットは、運用コストを抑えられることです。
CDNを導入してサーバーへの負荷を軽減すると、オリジンサーバーの運用コストを削減できます。
膨大な情報量を処理して快適な表示速度を実現するためには、複数のオリジンサーバーを用意したり回線を増やしたりすると、運用コストが高くなってしまいます。
コストをかけて新たにサーバーや回線を増やすより、CDNを導入してキャッシュサーバーを複数箇所に設置した方が、運用コストを抑えられるためおすすめです。
セキュリティ性を向上できる
CDNを導入すれば、ユーザーが直接的にオリジンサーバーへアクセスすることがなくなるため、セキュリティ性を向上できます。
大量アクセスによってサーバーダウンを狙うDoS攻撃・DDoS攻撃を受けても、キャッシュサーバーがダウンするだけなので、大元の基幹サーバーであるオリジンサーバーは稼働を続けられるのです。
CDNによってオリジンサーバーにかかる負荷を軽減すれば、サーバーダウンを防止しセキュリティ性を強化できるメリットが得られます。
SEO強化につながる
CDNを導入するメリットは、SEO強化につながることです。
SEOのアルゴリズムでは、ページの表示速度やコアウェブバイタル(Core Web Vitals)が評価されます。コアウェブバイタルとは、ページの健全性を表すウェブバイタル(Web Vitals)の中でも、重要な3つの指標です。
LCP(読み込み時間)、FID(インタラクティブ性)、CLS(ページの視覚的安定性)の3要素で構成されており、コアウェブバイタルが優れているほどSEOで上位表示されやすいです。
ページの表示速度とコアウェブバイタルを向上できるため、CNDを導入すればSEO強化へつながります。
CDNを導入する前に確認しておくべきポイント
CDNの導入を成功させるためには、いくつか確認しておくべきポイントがあります。
CDNを導入する前に確認しておくべきポイントは、次のとおりです。
- DNSの設定
- SSL証明書の確認
- キャッシュ対象を選定
それぞれのポイントを確認して、CDNの導入を成功させましょう。
DNSの設定
CDNを導入する際には、DNSサーバーでCNAMEレコード設定を行うため、DNSがCDNに切り替えられるか設定を確認しておく必要があります。
ネイキッドドメインはCDNへ切り替えられないため、CNAMEレコード(DNSで定義されるドメインに関する情報の種類の1つ)を編集できません。
またDNSの設定を変更するために、ドメインを管理しているユーザーを把握しておくことも大切です。
ドメインの管理ユーザーが、CNAMEレコード設定ができるか確認しておきましょう。
SSL証明書の確認
CDNを活用してHTTPS通信を行うにはSSL証明書が必要です。
CDNを利用する場合は、CDNからユーザー間でSSL通信を行う必要があるため、SSL証明書を用意しなければなりません。
ベンダーが発行したSSL証明書のみを受け付けているケースもあるため、既存のSSL証明書で対応できるか確認しておきましょう。
SSL証明書を用意する際には、次の必要書類が揃っているか確認してください。
- 証明書
- 中間証明書
- 秘密キー
また持ち出しができない無料SSL証明書を利用している場合は、新たにCDN用のSSL証明書を取得しなければなりません。
新規でSSL証明書を取得する際には、申請から発行までにかかる期間を確認して、CDN導入に間に合わせましょう。
キャッシュ対象を選定
CDNを導入した際に、キャッシュするコンテンツを設定しておく必要があります。
個人情報が含まれるファイルやユーザーアカウントを生成できるファイルなどは、キャッシュするべきではありません。
第三者へ個人情報が含まれるファイルやアカウント情報を配信すると、個人情報流出のリスクがあります。
対して、ファイル情報やサイズ・フォーマットなどが固定されており、誰がどの端末から閲覧しても同じ状態で配信される静的コンテンツはキャッシュしても問題ありません。
画像やJS・CSSなどのファイルは、キャッシュしていいコンテンツなので、更新時期を確認してコンテンツの更新頻度を調整しましょう。
CDNの導入方法
CDNをスムーズに導入するために、導入方法を確認しておくことが大切です。CDNを導入する際には、次の手順を遵守しましょう。
- 導入前の事前確認を実施する
- オリジンサーバーを設定する
- CDNを設定する
- DNSを設定する
- CNAMEレコードを設定する
- 動作を確認する
それぞれの導入方法を確認して、CDNを適切に運用してください。
導入前の事前確認を実施する
CDNを導入するためには、先ほど解説した事前確認を実施することが大切です。
- DNSの設定
- SSL証明書の確認
- キャッシュ対象の選定
上記の確認ポイントを押さえておけば、CDNの導入をスムーズに行えます。
オリジンサーバーを設定する
導入前の事前確認を実施した後は、オリジンサーバーを設定しましょう。
CDNの管理画面から、キャッシュサーバーでコンテンツを事前に処理するオリジンサーバーを設定してください。
CDNを設定する
オリジンサーバーの設定が完了したら、次はCDNを設定する段階です。
CDNサービスによって設定方法は異なりますが、ホストの設定やドメイン前に表示する「http」か「https」を選ぶケースが一般的です。
「https」はSSLによってセキュリティ性を高めた「http」のことであり、証明書や暗号キーに関する設定も行う必要があります。
DNSを設定する
オリジンサーバーとCDNの設定を行った後は、DNSキャッシュサーバーを設定しましょう。
DNSによって、ドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理できるため、CDNを導入する際にはDNSを徹底しておく必要があります。
CNAMEレコードを設定する
DNSで定義されているドメインについての情報を正確に把握するために、XNAMEレコード(ドメイン名やホスト名の別名を定義するレコード)を設定しておきましょう。
CNAMEレコードを設定しておけば、同じIPアドレスをもつ複数のホストを、別の名前で一括管理できます。
動作を確認する
最終工程であるCNAMEレコードの設定が完了したり、CDNが適切に動作するかテストする必要があります。
Webサイトへ正常にアクセスできるか、WordPressなどWebサイトを更新・修正ができるかなど、CDNが適切に設定できているか確認しておきましょう。
CDNの利用料金へ影響する要素
CDNを導入する際には、利用料金の目安を確認しておかなければ、予算内で導入できるか検討できません。
予算内でCDNを導入するために、利用料金へ影響する下記の要素を押さえておきましょう。
- データ量
- リクエスト数
- サポート内容
それぞれの要素を確認して、CDNサービスを比較検討してください。
データ量
データ量によって、CDNの利用料金は変わります。
CDNの利用料金は、主に次の3種類の料金形態によって決定します。
料金形態 | 特徴 |
従量料金 | リクエスト数や配信データ量に応じて課金
するため、利用したデータ量のみを支払う。しかし、アクセス数が多いと高額になりやすく予算を立てにくい。 |
コミット料金 | 一定のデータ量までを定額で支払い、超過分を従量料金で支払う料金体系。
データ量あたりの料金単価は、従量料金より低いですが、ある程度のアクセス数がないと得にはならない。 |
定額料金 | 毎月定額でコストを支払う経営体制であり、予算計画を立てやすい。
しかし、アクセス数が少ないとコストが割高になりやすいため注意が必要。 |
それぞれの特徴を確認して、自社で採用する料金体制を検討しましょう。
リクエスト数
CDNの利用料金は、ユーザーからのリクエスト数によって変わるケースもあります。
ユーザーからリクエスト配信を受けた数によって、CDNの利用料金が変動するのでリクエスト数課金とも呼ばれています。
サポート内容
CDNの利用料金へ影響する原因として、ベンダーのサポート内容が1つの要因です。サポート体制が手厚いほど利用料金が高くなるため、CDNの導入を検討している方は、ベンダーごとのサポート体制・内容をチェックしておきましょう。
CDNを導入する2種類の方法
CDNを導入する方法として、具体的に次の2種類の方法があります。
- CDNサービスを利用する
- CDNがあるレンタルサーバーを利用する
それぞれの方法を確認して、自社に適したやり方でCDNを導入してください。
CDNサービスを利用する
CDNの導入する際にオーソドックスな方法として、CDNサービスを利用する方法があります。
CDNサービスを提供している企業と契約してサービスを利用するには、費用対効果を測定することが大切です。
費用対効果を測定して、専門ノウハウや知識を蓄えた人材を確保しておきましょう。
CDNがあるレンタルサーバーを利用する
レンタルサーバーの中でCDNが含まれるものを選ぶ方法も、CDNを導入する際には効果的です。
すでにCDNが内蔵されているレンタルより良い商品・サービスを提供すれば、CDNをスムーズに導入できます。
まとめ:CDNの導入方法を確認してサイトを高速化しよう!
本記事でご紹介したCDNの導入方法を参考に、表示速度の改善に目を向け、Webサイトを高速化しましょう。
また、導入のメリットや選定の仕方についてはこちらでも紹介しています。
Webサイトの表示速度を改善することは、運用者にとってもユーザーにとっても重要です。表示速度の向上により、ユーザーはストレスフリーでサイトを利用でき、運用者はSEOやユーザーエンゲージメントの向上といった多くのメリットを享受できます。
CDNを含めたさまざまなテクノロジーを活用することで、サーバーの負担を軽減し、運用コストを削減しつつ、サイトの表示速度を大幅に改善できます。WebサイトやLP、ECサイトなどの速度改善に興味がある方は、ぜひギャプライズまでご相談ください。企業やサイトの形態に合わせた最適な施策やツール導入をサポートいたします。
お気軽にお問い合わせください。

今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。