EC売上2%アップの秘密:Tamarisに学ぶサイト表示速度改善の「費用対効果」
※本記事はBaqend社の公式事例を、同社の許可を得て翻訳・編集し公開しています。
サイトの表示速度改善は本当にROIを生み出せるのか?この疑問に、ドイツの老舗シューズブランドTamarisが明確な答えを示しました。Speed Kitの導入により、サイト表示速度を1.7倍改善し、結果として売上2%アップを実現。本記事では、具体的な改善施策とその効果を詳しく解説します。
目次
サイト表示速度が売上に与える影響とは
「カートに入れたのに、レスポンスが遅くて離脱された…」 「モバイルでの離脱率が高すぎる…」
このような課題を抱えるECサイト運営者は少なくありません。実際、Googleの調査によると、ページの読み込み時間が3秒を超えると、ユーザーの53%が離脱するというデータがあります。
さらに、2021年以降、GoogleはコアWebバイタルをSEOのランキング要因として採用。サイトの表示速度は、単なるUX改善だけでなく、集客にも直結する重要な要素となっています。
Tamarisが直面していた課題
Tamaris(タマリス)は、1919年創業のドイツの老舗シューズブランドです。ヨーロッパのファッション靴市場で確固たる地位を築いていますが、eコマース領域では大きな課題を抱えていました。
Tamarisの課題
- モバイルでの高い離脱率
- ページ読み込み速度の遅さ
- コンバージョン率の伸び悩み
- 検索エンジンでの表示順位の低下
Speed Kitとの協力の成果に大変満足しています。ウェブパフォーマンスの向上が主要なビジネス指標の改善につながることが実証されました。Speed Kitチームとの徹底的なテストと検証により、これらの成果を得ることができました。
エリック・ブラッケージ(プロダクトオーナー)
具体的な改善施策
これらの課題に対し、Tamarisは「Speed Kit」の導入を決定しました。Speed KitはAWSの13種のサービスを統合的に活用し、以下のような技術的特徴を持つソリューションです。
主な特徴
- 革新的なキャッシュアルゴリズム
- サービスワーカー技術の活用
- 動的HTMLリソースのキャッシュ対応
- Salesforce Commerce Cloudとの円滑な統合
技術構成のポイント
- EKSによるアプリケーションの効率的な管理
- S3を活用したアセットの最適化
- リアルユーザーモニタリング(RUM)による継続的な改善
- ElastiCacheによる高速なアセット判定
改善効果の検証
ABテストによる効果検証の結果、以下のような具体的な改善が確認されました。
LCP(最大視覚コンテンツの表示時間):
- デスクトップ: 2,359msから1,447msに短縮(約40%改善)
- モバイル: 3,335msから1,935msに短縮(約42%改善)
TTFB(最初のバイト取得までの時間):
- デスクトップ: 727msから466msに改善(約36%改善)
- モバイル: 831msから539msに改善(約35%改善)
ビジネス指標への影響
- コンバージョン率:3%増加
- ユーザーあたりの収益:2%向上
- 総収益:2%増加
実践のためのステップ
では、自社サイトでも同様の改善を実現するには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?
Step1:現状の把握
- 表示速度の測定
- ボトルネックの特定
- 改善優先度の設定
Step2:改善施策の検討
- 技術的な選択肢の評価
- コスト対効果の試算
- 実装リソースの確保
Step3:効果測定の準備
- KPIの設定
- 測定方法の確立
- PDCAサイクルの構築
おわりに
サイト表示速度の改善は、直接的な売上向上につながるポテンシャルを秘めています。Tamarisの事例は、適切な技術選択と実装により、具体的なROIを実現できることを示しています。
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今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。