定量・定性データの融合で実現する効果的なWebサイト改善
本記事は Wingify社の公式ブログを、同社の許可を得て翻訳・編集し公開しています。
Webサイトの改善施策を検討する際、「どのデータを見るべきか」「どのように分析すべきか」という課題に直面している企業は少なくありません。特に2023年にGoogleが無料ツールGoogleオプティマイズのサービスを終了して以降、多くの企業がA/Bテストの実施手段を失い、効果的なWebサイト改善の方法を模索している状況が続いています。
さらに、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題に象徴されるように、日本企業はIT人材の不足という深刻な課題に直面しています。このような状況下で、限られたリソースを最大限に活用しながら、効率的かつ効果的なWebサイト改善を実現することが求められています。
この課題に対する一つの解決策として注目されているのが、定量データと定性データを組み合わせたアプローチです。アクセス解析などの数値データ(定量データ)だけでなく、ユーザーの行動観察やフィードバック(定性データ)を統合的に分析することで、より確実な改善施策を導き出すことが可能になります。
しかし、これら2つのデータを効果的に収集・分析するためには、適切なツールと方法論が必要です。本記事では、サイト改善に必要な定量・定性データの基礎知識から、「VWO Insights」を活用した効率的な分析手法まで、実践的な内容をご紹介します。
目次
定量調査と定性調査の基礎知識
定量調査とは
定量調査は、数値データを中心とした調査手法です。「何が」「どのくらい」という問いに答えるためのデータを収集し、サイトのパフォーマンスを客観的に評価します。
主な指標例:
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- コンバージョン率
- 直帰率
- 平均滞在時間
- ページビュー数
- 流入経路別のトラフィック
定量調査の重要性:
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- パフォーマンス測定
- 改善施策の効果を数値で把握
- KPIの継続的なモニタリング
- データに基づいた意思決定
- 客観的な評価
- 主観を排除した公平な分析
- 経営層への説得力のある報告
- 投資対効果(ROI)の明確化
- パフォーマンス測定
定性調査とは
定性調査は、ユーザーの行動背景や意図を理解するための調査手法です。「なぜ」「どのように」という問いに答えるためのデータを収集し、ユーザー体験の質的な側面を評価します。
主な調査方法:
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- ヒートマップ分析
- セッション録画
- ユーザビリティテスト
- 自由回答式アンケート
定性調査の重要性:
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- ユーザー行動の理解
- 離脱の原因特定
- 使いにくさの発見
- ユーザーニーズの把握
- 改善施策の検証
- 仮説の妥当性確認
- 予期せぬ問題点の発見
- ユーザーの生の声の収集
- ユーザー行動の理解
両手法の統合的活用
効果的なサイト改善を実現するためには、定量調査と定性調査の両方を組み合わせることが重要です。例えば、アクセス解析で特定のページの直帰率が高いことが判明した場合(定量データ)、その理由をヒートマップやセッション録画で確認する(定性データ)という流れで、より確実な改善施策を導き出すことができます。
特に近年は、「VWO Insights」のような統合的なツールの登場により、これら2つの調査手法を効率的に実施することが可能になっています。
VWO Insightsによる効率的なユーザー行動分析
「VWO Insights」は、定量・定性データを統合的に分析できるツールとして、エンジニアリソースに制約のある企業からも注目を集めています。ダッシュボード上で各種データを簡単に確認でき、技術的な知識がなくても直感的な操作が可能です。
主要機能と活用方法
1. ヒートマップ分析
ユーザーの行動を視覚的に表示するヒートマップ機能では、以下のような分析が可能です。
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- クリック位置の集中度合いを色で表示
- スクロール深度の把握
- マウスの移動軌跡の確認
活用例:
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- ページ上の重要なボタンやリンクが適切な位置にあるか確認
- コンテンツの配置最適化
- ユーザーの注目度が高い領域の特定
2. セッション録画
実際のユーザー行動を録画で確認できる機能で、以下のような観察が可能です。
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- ページ遷移の流れ
- フォーム入力時の躊躇
- ラグクリック(怒りクリック)の発生箇所
特徴的な機能:
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- AIによる重要シーンの自動抽出
- 複数セッションの一括分析
- 問題箇所の効率的な特定
3. アンケート機能
ユーザーの生の声を収集できるアンケート機能には、次のような特長があります:
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- AIによる回答の自動要約
- 複数の質問形式に対応
- リアルタイムでの結果確認
活用のポイント:
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- 定量データで発見した課題に関する詳細な調査
- 改善施策の方向性確認
- ユーザーニーズの深掘り
データ分析の効率化
「VWO Insights」の特徴的な点は、これらの機能がすべて統合されたダッシュボードで提供されることです。この統合により:
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- 複数のツールを使い分ける必要がない
- データの相互参照が容易
- 分析作業の効率化
- チーム間での情報共有がスムーズ
これらの機能を活用することで、エンジニアリソースに依存せずに、マーケティング担当者主導でのサイト改善を実現することが可能です。
事例紹介
定量・定性データを組み合わせた分析が、実際のビジネスにどのように貢献するのか、具体的な事例をご紹介します。
事例1:ECサイトのモバイル転換率改善
課題
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- モバイルサイトのコンバージョン率が低い
- デスクトップと比較して顕著な差がある
- 原因の特定が困難
分析プロセス
- 定量データの確認
- Google Analyticsでページ価値を分析
- デバイス別のコンバージョン率を比較
- 定性データの収集
- 「VWO Insights」のヒートマップ機能で摩擦ポイントを特定
- ユーザーの実際の行動パターンを観察
- 問題点の発見
- カート追加ボタンがスクロール時に画面外に消失
- ユーザーがボタンを見失う状況を確認
改善施策
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- モバイル画面でのカート追加ボタンを固定表示に変更
- 7,200人の訪問者に対してA/Bテストを実施
結果
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- モバイルコンバージョン率が21.46%向上
- ユーザビリティの改善を数値で実証
参照:https://vwo.com/success-stories/udigital/
事例2:ゲームサイトの購入率向上
課題
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- 商品詳細ページからの離脱率が高い
- ユーザーの購買意思決定プロセスが不明確
分析プロセス
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- 定量データの分析
- トラフィックの流入経路を確認
- ページ間の移動パターンを分析
- 定性データの収集
- ヒートマップでユーザーの行動を観察
- クリックできない要素への操作試行を発見
- 価格情報への遷移パターンを確認
- 問題点の特定
- 商品パッケージの詳細情報が不足
- ユーザーが価格ページと商品ページを行き来する状況を確認
- 定量データの分析
改善施策
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- 商品詳細ページに価格情報を追加
- パッケージの特徴をより詳細に記載
結果
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- 購入率が約10%向上
- ページ間の不要な移動が減少
参照:https://vwo.com/success-stories/runescape/
事例から学ぶポイント
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- データの組み合わせによる深い洞察
- 定量データで問題を特定
- 定性データで原因を理解
- 両者を組み合わせた効果的な改善施策の立案
- 効率的な改善プロセス
- 「VWO Insights」による迅速なデータ収集
- 明確な根拠に基づく意思決定
- 改善効果の定量的な測定
- データの組み合わせによる深い洞察
まとめ
効果的なサイト改善に向けて
-
- 現状の課題を直視する
- Googleオプティマイズ終了後の代替ツールの必要性
- IT人材不足による改善施策の実施遅延
- データに基づいた意思決定の重要性
- 定量・定性データの統合的活用
- アクセス解析だけでは見えない課題の発見
- ユーザー行動の深い理解
- 効果的な改善施策の立案
- 効率的な実施体制の構築
- マーケティング部門主導での改善プロセス
- エンジニアリソースに依存しない運用
- チーム間でのスムーズな情報共有
- 現状の課題を直視する
「VWO Insights」活用のメリット
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- 包括的な分析環境の実現
- ヒートマップ、セッション録画、アンケートなどの機能を統合
- 直感的なダッシュボードによる効率的な分析
- AIによる分析支援機能
- スピーディーな改善サイクルの確立
- データ収集から分析、施策立案までの一気通貫した環境
- 仮説検証の効率化
- 改善効果の迅速な測定
- リソース効率の最適化
- 技術的知識がなくても運用可能
- 複数ツールの統合による運用コスト削減
- チーム全体での知見の共有と活用
- 包括的な分析環境の実現
次のステップ
Webサイトの改善は、一度限りの施策ではなく、継続的な取り組みが必要です。「VWO Insights」の導入を検討されている企業様向けに、私たちギャプライズでは以下のサポートを提供しています。
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- 無料トライアルのご案内
- 実際の使用感の確認
- 自社サイトでの効果検証
- 運用手順の確認
- 導入支援サービス
- 初期設定のサポート
- 分析手法のレクチャー
- 改善施策の立案支援
- 継続的なコンサルティング
- 定期的な分析レポートの提供
- 改善施策の提案
- 運用課題の解決支援
- 無料トライアルのご案内
デジタル時代における企業の競争力強化には、データに基づいた継続的な改善が不可欠です。「VWO Insights」の活用により、限られたリソースの中でも効果的なサイト改善を実現することが可能です。
VWOはABテストツールとして、非常に使いやすく十分な機能を備えていると同時に、さまざまな分析が行える便利なツールです。
世界で6000社が導入した実績があることから、その性能には高い信頼が集まっています。
無料トライアルでは、さまざまなテストを実施することができるので、もし自社でABテストツールを活用してランディングページの改善をしたいということであれば、一度試してみてはいかがでしょうか。
本メディアを運営する株式会社ギャプライズでは、WebマーケティングやWebサイト改善、Webサイト集客など、さまざまな課題や悩みに対応したビジネスを展開しています。
ABテストツールやWebページに関するご相談にも、対応可能です。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。