専門家を驚かせた5つのABテスト結果
本記事は Wingify社の公式ブログを、同社の許可を得て翻訳・編集し公開しています。
目次
ABテストの結果がマーケターの常識を覆す
CX(カスタマーエクスペリエンス)改善に取り組むマーケターの皆さん、予想を超えるABテストの結果に驚いた経験はありませんか?
直感的に「これが最適解だ」と思っても、実際にテストしてみると違う結果が出ることは少なくありません。だからこそ、成功する企業はABテストを活用し、データに基づいて意思決定を行っています。
本記事では、実際のABテスト結果の中から、専門家でさえ予測を誤った「常識」や「直感」に反する事例を5つ紹介します。
1. 「ソーシャルプルーフ」は必ずしも最適とは限らない
フィンランドのECサイト「Taloon」は、以下の2つの製品ページのどちらがより多くの売上を生み出したかをテストしました。
画像出典:Taloon.com
多くの人は、「ソーシャルプルーフ(ユーザーの評価やレビュー)」を表示したバージョンの方が効果的だと考えがちです。
しかし、結果は逆でした。「VWO Testing」を使用したテストでは、ソーシャルプルーフなしのバージョンの方が約12%多くの購入につながったのです。
多くの企業は、「ソーシャルプルーフはコンバージョンに役立つ」という常識に基づき、テストなしで導入してしまいます。しかし、「Taloon」のチームは事前にテストを行ったことで、大きな売上の機会を逃さずに済みました。
もちろん、ソーシャルプルーフ自体には大きな価値があります。訪問者の不安を和らげ、ブランドの権威を示すのに役立ちます。しかし、重要なのは「どこに」「何を」掲載するかです。ニュースレター登録者数、Facebookの「いいね!」数、受賞歴など、どのデータが効果的なのかを必ずテストしましょう。
2. 「アイコン」はコンバージョンを下げる可能性がある
近年、ウェブデザインにおいてアイコンの活用が再び注目されています。特に、リストの箇条書きを視覚的に整理するために使用されることが多いです。
ECサイト「Build.com」のチームは、アイコンをナビゲーションツールとして使用することで、ユーザーの操作性が向上し、売上も増加するのではないかと考えました。
出典:build.com
しかし、テストの結果は予想とは逆でした。アイコンなしのバージョンの方が21%多くの購入につながったのです。
原因として考えられるのは、アイコンがナビゲーションを洗練させた一方で、訪問者にとっては「情報が多すぎて混乱を招いた」という点です。
3. 「セキュリティ認証マーク」は逆効果になることも
リード獲得(リードジェネレーション)フォームでは、訪問者の不安を取り除くために「プライバシーポリシー」や「セキュリティ認証マーク」を表示するのが一般的なベストプラクティスとされています。
しかし、ABテストの結果、フォームに「TRUSTe」認証ロゴを追加したバージョンよりも、ロゴを表示しないバージョンの方が12.6%多くの送信完了につながりました。
これは、訪問者が「TRUSTe」ロゴを見たことで、支払い手続きが必要なのではないかと誤解し、不安を感じた可能性が考えられます。
セキュリティ認証マークは、適切な「場所」と「タイミング」で表示することが重要です。例えば、チェックアウトページや決済画面では有効に機能することが多いですが、リード獲得フォームのような場面では逆効果になる可能性もあります。
4. 「顔写真」はコンバージョンを上げるとは限らない
CRO(コンバージョン率最適化)の専門家やデザイナーは、ウェブページに「人の顔」を使用することを好みます。視線誘導の観点から、顔は視線を集める要素だからです。
画像出典:Hubspot
しかし、「HubSpot」のABテストでは、顔写真を削除したバージョンの方が24%多くのフォーム入力が完了しました。
顔写真は、ブランドの信頼感を高める効果がある一方で、CTA(行動喚起)や重要なメッセージの注意を逸らしてしまう可能性があります。
幸い、「HubSpot」のチームはこの結果を受けて、新しいランディングページのデザインポリシーを見直しました。
5. 「動画サムネイル」に適した画像とは?
「Autodesk」は、製品ページの動画サムネイルに「人の顔」か「製品画像」のどちらを使用するかをテストしました。
画像出典:AutoCAD
結果は、「人の顔」を使用したバージョンの方が、動画のクリック率が50%低下しました。
後日実施したユーザー調査によると、「Autodesk」の顧客は「製品がどのように動作するか」を重視しており、「人物が話す姿」にはあまり興味がなかったことが判明しました。
これは、ターゲットユーザーの期待やニーズを理解し、適切なコンテンツを提供することが重要であることを示す好例です。
まとめ:ABテストの重要性と次のアクション
ABテストの分野では、専門家でさえ予想を大きく外すことがあるのが現実です。重要なのは、仮説が間違っていた場合に何をすべきかを理解し、次のアクションにつなげることです。
ABテストは、CX改善において欠かせない「意思決定の羅針盤」です。データを活用し、テストを繰り返すことで、競合に差をつける最適なサイト設計が可能になります。
ギャプライズでは、世界基準のABテストツール「VWO」を活用し、マーケターが最も効果的なCX改善を実施できるよう支援しています。
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MarTechLab編集部
このブログでは、ABテスト、サイト改善、UI/UXデザイン、広告最適化、インフルエンサーマーケティングなど、多岐にわたるトピックを取り扱っています。また、業界の専門家にインタビューを行い、実際の事例や成功事例を紹介することで、読者に有益なインサイトとアイデアを提供しています。