tectake、ECサイトの高速化で売上+8.93%|PoCで見えた「速度が売上を押し上げる4つのステップ」とは?
欧州のホーム&ガーデン用品EC「tectake」は、既存のMagentoストアに Speed Kit を追加し、PoC(概念実証)でオンライン売上を8.93%伸ばしました。
CVR(購入率)は5.02%、平均注文額は3.74%上がっています。いずれも、新たな集客や値下げなしに得られた改善です。
本記事では、課題から導入アプローチ、成果が生まれた理由までを整理し、日本のEC担当者への示唆をお伝えします。
本記事は、Baqend社が2026年9月18日に公開した導入事例を、MarTechLab編集部が日本の読者向けに翻訳・再構成したものです。数値はすべてPoC期間中の相対的な変化で、Baqend社の公開情報に基づきます。
目次
tectakeとは?
tectake は、ガーデン家具やパラソルから家庭用品、レジャー用品まで、家・庭・暮らしの商品を幅広く扱う欧州のオンライン小売企業です。低価格で豊富な品揃えが特徴で、ストアは Magento(オープンソース系のECプラットフォーム)で構築されています。PoCの後は、ドイツのストアで100%展開し、フランス・オランダ・スイスのショップにも拡大しました。
回遊型ECで「待ち時間」が売上を削るのはなぜか? 導入前の課題
tectake の顧客は、商品名で検索して買うのではなく、カテゴリページから数十点を見比べて選びます。そのため、ページ間の待ち時間が1回増えるたびに商品の閲覧機会が減り、売上の機会も失われます。
品揃えを見比べて買う、回遊型の購買行動
顧客はカテゴリページに入り、多くの選択肢を見て、バリエーションを比べ、一覧と詳細を行き来してから購入を決めます。この回遊の過程こそが、同社の売上が生まれる場所です。
画像の多いカテゴリ・商品ページと表示の遅れ
画像が多いカテゴリ・商品ページがトラフィックの大半を占めています。表示が遅れると、セッションが短くなり、見てもらえる商品が減り、結果として買い物かごも小さくなります。
再構築も追加開発もしたくないという制約
tectake が目指したのは、すでに獲得しているトラフィックから売上を伸ばすことでした。ただし、プラットフォームの再構築や、Magento側の追加開発は避けたいという条件がありました。
Speed Kitはどう解決したか?
Speed Kit は、既存のMagentoストアの上に重ねる軽量な最適化レイヤーとして導入されました。ストアのアーキテクチャは変更していません。訪問者が次に開きそうなページを予測してバックグラウンドで読み込むため、次のページの多くがクリック前にキャッシュから返されるか、表示可能な状態まで準備されます。
既存Magentoに被せる軽量レイヤー
再構築や追加開発を伴わず、既存のストアに支障を出さずに組み込まれました。
次ページを予測して先読みする仕組み
「先読み(プリロード)」は、次に開かれそうなページを、クリック前に取得して手元に置いておく仕組みです。さらに「プリレンダリング」により、ページを表示できる状態まで裏で組み立てておくこともできます。カテゴリページから商品ページへ移る瞬間の「待ち」が、ほぼ感じられなくなります。
導入の効果は? PoCの結果
PoCでは、オンライン売上が+8.93%、ユーザーCVRが+5.02%、平均注文額が+3.74%伸びました。注文数は+5.01%、セッション数は+2.57%、閲覧ページ数は+3.55%増加しています。
| 指標 | 変化(相対値) |
| オンライン売上 | +8.93% |
| ユーザーCVR(購入率) | +5.02% |
| 平均注文額(AOV) | +3.74% |
| 注文数 | +5.01% |
| セッション数 | +2.57% |
| 閲覧ページ数 | +3.55% |

図:PoC 期間中のビジネス KPI の改善率(原文グラフを MarTechLab 編集部が日本語化)
※いずれもPoC期間中の相対的な変化です。PoCの期間、対象訪問者数、統計的有意性は原文に記載がありません。
※CVR(Conversion Rate)は購入などの成果に至った割合、AOV(Average Order Value)は1注文あたりの平均金額です。
高速化で売上が+8.93%伸びたのはなぜか?
Speed Kit社は、顧客が「たくさん買おう」と決めたのではなく、「より多くの商品を見られた」ことが成果につながったと分析しています。回遊が深まって購入者と客単価が同時に上がり、2つの効果が掛け合わされて売上が伸びた、という説明です。
※以下は原文でSpeed Kit社が示している分析・解釈です。媒介効果そのものを検証したデータは示されていません。
① 速いほど、セッションが続く
Speed Kit社によると、tectake 自身のRUM(実ユーザー計測)でも、表示が速いセッションほど多くのページを見る傾向があるとされています。PoCでもセッションは+2.57%、閲覧ページ数は+3.55%増え、より深く回遊していたと説明されています。
② 多くの商品を見るほど、買う人が増える
品揃えの広いECでは、見た商品の数が購入するかどうかを左右します。商品の閲覧が増えた結果、同じ訪問者のうち注文する人が+5.02%増えました。
③ 見た商品が増えると、客単価も上がる
8点でなく12点を見た顧客は、2点目の商品や、関連するカバー、大きなセットに出会いやすくなります。平均注文額が+3.74%上がったのは、そのためだと説明されています。同じトラフィック、同じ価格のままでの変化です。
④ 注文数×客単価で売上に効く
売上は「注文数×注文額」で決まります。注文数が+5.01%、注文額が+3.74%上がると、2つの効果は足し算でなく掛け算になり、売上は+8.93%増えます。売上の伸びがCVRの約1.8倍になるのはこのためで、速度施策はCVRだけでなく売上で評価すべきだと原文は述べています。
売上 ≒ 注文数(+5.01%)× 注文額(+3.74%)= 約 +8.9%
tectakeの声
当社のお客様は、1つの商品を決めて来るわけではなく、見比べながら買い物かごを作っていきます。その道のりを遅くするものは、注文数と購入金額の両方を減らします。Speed Kit は、まさに売上が生まれるページでその摩擦を取り除いてくれました。PoCでは、購入するお客様が増え、しかも1人あたりの購入額も増えるという、商業面での裏付けが得られました。既存のMagento環境の上で、再構築なしに動いたことも、導入の判断を容易にしました
ファビアン・ルス / TecTake GmbH eコマース責任者
日本のEC担当者への示唆
表示速度の改善は、CVRだけでなく「売上」「客単価」「回遊」の3つの視点で評価すると、効果を正しく捉えやすくなります。日本のECでも、次のような観点が参考になります。
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- 速度施策のKPIは、CVRだけでなく売上・注文数・客単価・閲覧ページ数まで並べて確認する
- 品揃えが広く、カテゴリから見比べて買う商材(家具、雑貨、アパレル、日用品など)は、回遊の改善が売上に効きやすい
- Magentoなどの既存基盤でも、再構築なしで追加できるアプローチがある
ただし、本事例は欧州の1社によるPoCの結果で、数値は相対値です。同じ改善率が他のサイトで再現するとは限りません。まずは自社サイトの表示速度の現状を、数値で把握することが第一歩になります。
まとめ
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- tectake は、既存Magentoに Speed Kit を追加し、PoCでオンライン売上を+8.93%伸ばしました。
- 内訳は、CVR+5.02%、注文数+5.01%、平均注文額+3.74%です。回遊が深まり、購入者と客単価が同時に上がった結果と説明されています。
- PoC後はドイツのストアで100%展開し、フランス・オランダ・スイスにも拡大しています。
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出典:Speed Kit「tectake」導入事例(2026年9月18日公開)
https://www.speedkit.com/customers/tectake
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。
