CVRの改善事例8選|向上法や低下する要因、おすすめツールも紹介
CVRの改善を目指している方のなかには、具体的な方法や改善の事例を知りたい方がおおいのではないでしょうか。
ただし、CVRの改善を目指すためには、CVRに関して正しく理解しないと具体的な方法は把握できません。
本記事ではCVRとはそもそも何なのか、具体的な改善方法や企業事例、活用できるツールを解説します。
CVRに関して理解を深めて、自サイトの改善につなげましょう。
目次
CVRとは
CVR(コンバージョン率)とは、Webサイトや特定のページに訪れたユーザーの内、どの程度コンバージョン(成果や成約)に至ったかを表す数値です。
以下でCVRの計算式と求める目的を解説します。
CVRの計算方法
CVRの計算方法は、コンバージョン数を訪問数(セッション数)で割り、その結果に100を掛けることで求められます。
コンバージョン数 ÷ サイトへの訪問数(セッション数) × 100 |
例えば、あるウェブサイトに50回の訪問があり、そのうち1回のコンバージョンがあった場合は、CVR2%です。
一般的にはサイト全体の平均CVRは、1%~3%ほどが目安とされています。
CVRを求める目的とは?
CVR(コンバージョン率)を求める目的は、ウェブサイトやアプリのパフォーマンスを評価し、改善するためです。
具体的には、以下の目的があります。
- 成果の測定:CVRは、訪問者がウェブサイトやアプリで目標とされる行動(購入、請求、登録など)をどれだけ行ったかを示す指標です。これにより、マーケティング施策の成果を定量的に評価できます。
- 改善の指標:CVRを定期的に計測し、その結果に基づいてウェブサイトやアプリの改善を行うことで、より多くの訪問者が目標とする行動を行うようになることを目指します。例えば、訪問者数は多いがCVRが低いページの場合、そのページのコンテンツがターゲットユーザーのニーズに合っていない可能性があります。
- 効率的なリソースの配分:CVRを各ページごとに計測することで、どのページが最もコンバージョンを達成しているかを把握し、リソースを効率的に配分できます。
- 成果の最適化:CVRは、サイトの訪問者がどれだけ目標行動を行ってくれたかを測る指標であり、これを中心に他の定量データとの関係からページ改善を図ることが可能です。
以上のように、CVRを求める目的は、ウェブサイトやアプリのパフォーマンスを評価し、改善することにより、最終的な成果(売上や会員数の増加)を最大化することです。
CVRを改善する5つの方法
本章では、CVRを改善する具体的な方法を紹介します。
主な方法は下記の5つです。
- Webサイトの導線を改善する
- CTA(コール・トゥ・アクション)の改善
- ターゲティングの改善
- ページの読み込み速度の最適化
- ABテストの実施
それぞれ解説します。
①Webサイトの導線を改善する
1つめは、サイトの導線の改善です。
例えば、導線が重要なランディングページでは、ユーザーの興味や注意をうまく誘導できるかがCVRに大きく直結します。
特に、ランディングページがコンバージョン獲得経路の中で占める割合が大きいサイトほど、導線の見直しは有効な施策です。
ユーザーが求める情報や行動を明確に示し、シンプルで魅力的なデザインにすることでCVRを向上させられるでしょう。
ほかの導線には、ユーザーが利用するサイトの入力フォームや項目などを最適化(EFO)することもおすすめです。
②CTA(コール・トゥ・アクション)の改善
CTAは「購入ボタン」や「資料請求ボタン」など、ユーザーに具体的な行動を起こすよう促す要素で、適切な設計や配置が重要です。
例えば、CTAの文言や色、配置、サイズなどを最適化することで、ユーザーの行動を誘導しCVRを改善できるでしょう。
また、CTAの数を増やすことや、誘導文の見直しもCVR改善に効果的です。
明確で魅力的なCTAを設定し、ボタンの色やテキストをテストして効果的なものを見つけましょう。
③ターゲティングの改善
顧客ニーズをしっかりと確認し、ターゲットに合わせたアプローチを行うことでCVRの改善が期待できます。
ターゲティングを改善することで、より関連性の高いユーザーにアプローチできるためです。
具体的な方法はターゲット顧客の特定とパーソナライズされたメッセージの最適化です。
顧客の特定やニーズの理解を行い、それに合ったコンテンツ提供を行うことで、CVRを向上できます。
顧客に合わせたパーソナライズされたメッセージを使用することで、顧客の関心を引き、CVRを向上をねらいましょう。
④ページの読み込み速度の最適化
ユーザーが待たされることなくスムーズにページを読み込みできることも、CVR改善の1つです。
特にモバイルデバイスからのアクセスが増えている現在、ページの読み込み速度は非常に重要な要素。
ページの読み込み速度を最適化する方法には、画像の圧縮やリダイレクトの削減、ブラウザキャッシュの有効化などがあげられます。
これらの方法を使用してページの読み込み速度を最適化することで、CVRの改善につなげましょう。
ページの読み込み速度を測定するにはGoogle PageSpeed Insightsが最適です。
下記の記事も参考にしてください。
【徹底ガイド】Google PageSpeed Insights
⑤ABテストの実施
ABテストは複数のバージョンのウェブページを比較し、最も効果的な要素を特定するための手法です。
適切なABテストを実施することで、CVRの改善につなげられるでしょう。
ABテストにより改善できる具体的な内容には、ページのレイアウトやフォームの長さ、フィールドの数などがあげられます。
異なるランディングページのバージョンを比較し、CVRの向上につながる要素を特定できるでしょう。
ABテストについては、下記の記事を参考にしてください。
早わかり!ABテストとは?メリット・デメリットと実施のタイミング
ABテストのやり方とは?ABテストの基本的な手順とポイントを徹底解説
CVRが低下する5つの要因
CVRが低下する主な要因は以下のとおりです。
- 広告に問題がある
- 市場・トレンドに合っていない
- 顧客が競合に流れている
- ターゲティングがマッチしていない
- サイトの構造が問題がある
上記の要因を把握しておくと、CVRが低下しても素早く対処できます。
それぞれ解説します。
①広告に問題がある
1つめの要因は、ターゲティングの不正確さやクリエイティブの魅力不足、コピー効果のなさなど広告自体に問題がある点です。
広告がターゲット層に適切にアピールできず興味を引かない場合、ユーザーは広告をクリックせずに離脱してしまう可能性が高いでしょう。
また、関連度の低いキーワードからの流入が多い場合や、自社商品に対する関心が低いターゲットへの配信が多い場合もCVRの低下につながる可能性が高いです。
広告に問題がある場合、クリエイティブやコピーの改善により、広告の魅力や関心を引く力を高める施策が求められます。
②市場・トレンドに合っていない
2つめは、市場やトレンドに合っていない点です。
このようなケースでは、下記のような理由が考えられます。
- 需要の減少:市場の変化や季節、トレンドによって需要が減少することがあります。例えば、特定の商品やサービスが季節に関連して需要が低下する場合、それに合わない広告を配信するとCVRが低下します。
- 関連度の低下:市場やトレンドの変化により、広告とターゲットの関連度が低下することがあります。例えば、特定の季節やトレンドに関連したキーワードを使用しない広告を配信すると、ターゲットとの関連度が低くなり、CVRが低下します。
- 競合他社の変化: 競合他社の動向や新たな機能の導入によって、需要や市場環境が変化することがあります。これにより、自社の広告が競合他社に対応していない場合、CVRが低下する可能性があります。
市場やトレンドに合わせて広告を最適化し、ターゲット層に適切なメッセージを届けることが重要です。
③顧客が競合に流れている
3つめは、顧客が競合他社へ流出しているケースです。
理由は以下のとおりです。
- 競合サイトの魅力的な訴求:競合サイトが魅力的なキャッチコピー、デザイン、利便性を提供している場合、ユーザーが競合サイトに流れてしまう可能性があります。
- 競合サイトとの比較:ユーザーが複数のサイトを比較し、競合サイトの方が魅力的と感じた場合、自社サイトのCVRが低下する可能性があります。
- 競合調査の重要性:競合サイトの情報を調査し、競合サイトに劣らない魅力的な要素を提供する必要があります。
競合サイトとの比較や競合調査を通じて、自社サイトの魅力的な要素を強化しCVRの改善が必要です。
④ターゲティングがマッチしていない
ターゲティングがマッチしていない場合も、CVRの低下を招く要因の1つです。
- メッセージの不適合:ターゲットに適したメッセージを届けることができないため、ユーザーの関心を引くことができず、コンバージョン率が低下します。
- ニーズの不一致:ターゲティングがマッチしていない場合、ユーザーのニーズや興味に合ったコンテンツを提供できないため、コンバージョン率が低下します。
- 競合他社との比較:ターゲティングが競合他社との比較で不利な場合、競合他社のサイトに流れてしまう可能性が高まり、コンバージョン率が低下します
ターゲティングがマッチしていない場合、ターゲットに適したメッセージやコンテンツを提供し、競合他社との差別化を図ることが重要です。
⑤サイトの構造が問題がある
最後の5つめは、サイト構造の問題です。
- ユーザビリティの低下:サイトの構造が複雑であったり、情報が整理されていない場合、ユーザーが求める情報に辿り着くまでの手間が増え、離脱してしまう可能性が高まります。
- モバイル対応の不備:近年、モバイルデバイスからのアクセスが増加しており、モバイル対応が不十分なサイトではユーザーの利便性が低下し、コンバージョン率が低下します。
- ページの読み込み速度の遅さ:サイトの構造やコンテンツの過剰なため、ページの読み込み速度が遅くなると、ユーザーの離脱率が上昇し、コンバージョン率が低下します。
サイトの構造が問題がある場合、ユーザビリティやモバイル対応、ページの読み込み速度などを改善することが重要です。
CVRを改善した事例8選
本章では、CVRを改善した企業事例を紹介します。
紹介する8企業は以下のとおりです。
- 株式会社SBI証券
- 吉本興業ホールディングス株式会社
- Hulu
- MOVEXA
- auフィナンシャルサービス株式会社
- 三越伊勢丹ホールディングス
- プログラミングスクールの事例
- 求人サービスの事例
ぜひ参考にして、自社のCVR改善に役立てましょう。
それぞれ解説します。
1:株式会社SBI証券
株式会社SBI証券は、オンライン証券事業を中心とした証券会社です。
当社では、ネット証券の取引口座開設済みユーザーの中でも入金・取引に至らない人が多いという課題に直面していました。
そこでトップページを「初心者向け」から「経験者向け」に改善し、CVRを改善を実施したところ、下記のような効果がありました。
投資初心者に向けては、トライしやすいロボアドや、投資のプロが運用してくれる投資信託、まず始めるならこれだというデビューファンドランキングなど、「初めての人はまずはこれから取り組みましょう」というコンテンツ訴求に注力。するとユーザーの入金率が108.43%改善し、結果的に取引の促進に繋がりました。
上記の取り組みにより、初心者でも投資のために入金・取引をしやすい環境となり、CVR向上へつながっています。
2:吉本興業ホールディングス株式会社
吉本興業ホールディングス株式会社は、Webサイトの運用を改善できるKaizen Platformと連携しチケット売り上げの向上を目指しました。
具体的には、デジタルチケット販売サービス「チケットよしもと」の改善に取り組んでいます。
「チケットよしもと」のログイン画面に「新規登録」の項目がなかったため、新規登録ボタンを設置。新規会員登録数が18%増加しました。検索ワード履歴やよく見る劇場カレンダー、最近見た公演詳細などの行動履歴を設置。サイト回遊率を向上させた。
ほかにもKaizen PlatformのAI技術を活用して、ユーザーの行動データを分析し、個別のニーズに合わせたチケット推薦機能の強化や、Webサイトの改善を行いました。
結果として、ユーザー体験の向上やCVRの改善につながっています。
3:Hulu
Huluは映画やドラマなどを楽しめるオンライン動画配信サービスです。
Huluでは下記の画像のような改善策を行いました。
上記は広告の訴求軸にあわせてファーストビューを変更したことを表しています。
そして、下記は流入別に効果を最大化した図です。
結果として、CVR(会員登録完了率)が最大化、改善率116.7%となっています。
ABテストを活用し「どうすれば会員登録数が増えるか」を追求し、成果をあげた事例です。
4:MOVEXA
MOVEXAは関節サポートのサプリメントを販売しており、LPからの売上向上が課題でした。
具体的には、LPの文言から顧客の信頼を得られず、売上が伸び悩んでいる点が課題に挙げられています。
そこで、ABテストツール「VWO」を用いて、見出しの文言を修正して効果を測定。
結果、売上は89.97%向上し、見出しが与える効果を証明する好例となっています。
With a statistical significance of 98%, the variation beat the control. Purchases increased by 89.97%.(98%の統計的有意性で、変動は対照を上回りました。 購入数は89.97%増加しました)
参照:VWO
【ABテストツールVWO】特徴や7つの機能紹介|料金プランも解説
5:auフィナンシャルサービス株式会社
auフィナンシャルサービス株式会社は、au PAY カードの発行や決済代行、銀行代理業などを行う金融事業を展開している企業です。
auフィナンシャルサービス株式会社では、下記の改善に取り組み実績を上げています。
ABテストの結果、申込みボタン内に「最大10,000ポイントもらえる」というテキストを入れるとCVRがアップしました。カードの入会によるメリットを端的に訴求したことが、コンバージョンの改善につながったのです。また、多変量テストの結果、「利用できる店舗」のロゴを挿入したパターンがCVRの向上につながりました。同社ではこうした複数のテストを通じて、CVRを119%改善することに成功しています。
引用:dlpo
コンバージョンボタンの形や色、ボタン内のテキストを改善することでCVRを上げることに成功した事例です。
6:三越伊勢丹ホールディングス
三越伊勢丹ホールディングスは、三越伊勢丹をはじめとする各地方の百貨店運営会社などを所有している小売業グループです。
その三越伊勢丹ホールディングスでは、Web上でカード明細を確認できるサービスの登録数に悩んでいました。
「WEB明細サービス」という名称が分かりにくいという仮説を立て、クリエイティブを2パターンに分けてABテストを行いました。テストの結果、「WEB明細サービス」という単語を使う代わりに、「紙の明細書STOP!!」というキャッチコピーを使用したサービスページはCVRが約30%も向上しました。
引用:dlpo
ABテストによる改善がサービスページの質の向上に貢献した事例です。
7:プログラミングスクールの事例
7つめは、プログラミングスクールの事例です。
ターゲットが明確に分かっていなかったWebサイトにペルソナを設定し、ターゲットに訴求軸を合わせる施策を実行しました。
訴求対象をフリーエンジニアに絞ることで申し込み率を110%まで改善しました。
参照:株式会社ギャプライズ
8:求人サービスの事例
最後は、医療系の求人サイトの事例です。
改善前までは、求人内容を見ただけで満足してしまい、問い合わせや登録数などのコンバージョン率が伸び悩んでいました。
求人内容を見ただけで満足し離脱するユーザーがいる可能性があるため、スライドを削除しCVが増えるか検証。
また、紹介求人の一例スライドをすべて削除した結果、登録率が194%改善しました。
参照:株式会社ギャプライズ
CVRの改善におすすめのツール3種類
本章では、CVRの改善におすすめのツールを紹介します。
主なツールは以下の3つです。
- LPOツール
- EFOツール
- ヒートマップツール
上記のツールを活用するとCVRを改善できるでしょう。
それぞれ解説します。
LPOツール
LPOツールは、ランディングページ最適化のためのツールです。
LPOツールを使用することで、ウェブサイトの改善やコンバージョン率を向上させられます。
具体的な機能としては、ABテストや行動ターゲティング、レポート機能など。
LPOツールの導入により、効果的なオンラインマーケティング戦略の実現や顧客満足度の向上が期待できます。
ただし、適切な選定と運用体制の構築が重要であり、専門知識や適切なサポート体制の確保が必要です。
EFOツール
EFOツールは、Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)のためのツールです。
主な機能には、ユーザーの入力をサポートする入力補助機能や、フォームの詳細なデータを分析するログ解析機能があります。
EFOツールの導入により、ユーザーの利便性が高いフォームを作成しやすくなり、効果的な改善が可能です。
離脱原因の把握や客観的な分析により、CVRを改善させられるでしょう。
フォームの状態を数値化し、ユーザーが使いやすい仕様に改善できる入力支援機能が特徴のツールです。
ヒートマップツール
ヒートマップツールは、データ可視化ツールの一種であり、色を使用して異なる値を表現するツールです。
例えば、ウェブページ上でのユーザーのクリックやスクロールのパターンを可視化する際に使用されることがあり、データの特徴や傾向を直感的に把握可能です。
ヒートマップツールを使用することでユーザー行動の可視化で客観的なデータに基づく改善を可能とし、改善提案の具体化ができます。
ユーザーがページのどの部分に関心を持ち、どの部分を見ていないかわかるためウェブサイトやランディングページの改善につながる具体的な施策を行えるでしょう。
CVRのより高度な最適化ツール
CVRを改善するために、より高度な分析やパーソナライズが可能なツールを2つ紹介します。
- Contentsquare(コンテンツスクエア)
- Dynamic Yield(ダイナミックイールド)
どちらも弊社が取り扱っているCVR改善ツールです。
AIを使用したパーソナライズや、直感的に操作ができる使いやすさ、改善点をスピーディーに見つけられる点など、さまざまなサポートでCVRの改善をサポートします。
CVR1.9倍改善、ミュゼプラチナムのサイト改善事例を大公開
まとめ:CVRを改善して売上アップを目指そう
ここまでCVRの改善に関して詳しく解説しました。
CVRを改善するためには具体的な方法を把握したうえで、適切なツールを使って課題の把握と解決策を導き出すことが重要です。
企業の具体的な改善事例を把握しておくと、自社のサイトを改善する際に役立つでしょう。
特にLPO、EFO、ヒートマップをより良いものにするためのツールを活用すると、具体的な改善方法がわかりCVRの向上につながるでしょう。
CVRの改善をする際は、ぜひこの記事の内容を参考にツールを活用してみてください。
本メディアを運営する株式会社ギャプライズでは、WebマーケティングやWebサイト改善、Webサイト集客など、さまざまな課題や悩みに対応したビジネスを展開しています。
ABテストツールやWebページに関するご相談にも、対応可能です。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。